[2025_06_08_01]南海トラフ確率論争 信頼性疑う声、見直しも 南海トラフと想定震源域(琉球新報2025年6月8日)
 
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南海トラフ確率論争 信頼性疑う声、見直しも 南海トラフと想定震源域

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 政府の地震調査委員会が30年以内の発生確率を「80%程度」としている南海トラフ巨大地震で、根拠の一つである計算手法を巡り論争が起きている。地震の発生間隔を割り出すためのデータが限られる上、その信頼性を疑う声も上がる。計算手法の提唱者は2030年ごろに巨大地震が起きなければ発生確率の計算に使わないようにすることに言及し、将来的に政府の予測見直しにつながる可能性もある。
 地震調査委は南海トラフ巨大地震について、古文書に記された高知県・室津港の水深から隆起量を推測し、次の地震までの間隔を割り出す「時間予測モデル」を活用している。他の研究者らからは、室津港の隆起量自体への疑念や、このデータのみで評価することの妥当性についての批判があった。
 そこでこの計算手法を提唱した島崎邦彦東京大名誉教授(地震学)らは室津港の隆起量を再検討。1707年の宝永地震で1・97メートル、1854年の安政南海地震で1・21メートル、1946年の昭和南海地震で1・1メートルの隆起があったとし、2035年ごろとしていた次の発生時期を早め、30年ごろに起きるとの研究成果を5月の学会で発表した。
 島崎氏は発表後、計算手法は過去の発生間隔に当てはまっていたとしつつ、30年ごろに巨大地震が起きなかった場合には「モデルが間違っていたことになる。(発生確率の予測に)使わない方がいい」と語った。
 南海トラフ巨大地震は、東海の駿河湾から九州の日向灘沖にかけて海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って発生する地震。おおむね100〜150年間隔で起きるとされ、地震調査委が今年1月、今後30年以内に発生する確率を「70〜80%」から「80%程度」に引き上げた。
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