[2025_06_06_01]福島第1原発事故、問われなかった東京電力の責任 「安全よりコストの無責任体質」は、今の経営陣にも…(東京新聞2025年6月6日)
 
参照元
福島第1原発事故、問われなかった東京電力の責任 「安全よりコストの無責任体質」は、今の経営陣にも…

 20:46
 13兆円超の賠償命令から一転して、東京電力旧経営陣の責任を否定した東京高裁判決。これによって福島第1原発事故を巡る主要な民事や刑事の三つの裁判は、いずれも東京電力旧経営陣や国の責任を認めず、被災者や株主側の訴えは退けられる結果となった。追い風を受けるように、事故当事者の東京電力は原発の再稼働に突き進もうとするが、世界最悪レベルの原発事故を起こした企業体質は変わらない。(小野沢健太、荒井六貴)

 ◆東京高裁判決は「津波予測の信頼性」を否定

 「津波は予見できなかった」。株主代表訴訟の高裁判決は、当時の津波予測の信頼性を否定し、旧経営陣が危険性を認識できなかったから、対策を指示しなかったことにも責任は問えないとした。
 2022年6月の避難者集団訴訟の最高裁判決は、津波の予見可能性については判断せず、津波の規模が大きすぎて対策をしても事故は防げなかったと認定。東京電力を指導しなかった国に責任はないと結論づけた。旧経営陣が業務上過失致死傷罪で強制起訴された事件は今年3月に無罪が確定し、刑事罰認定のハードルの高さが示された。
 それぞれ津波予測や実際の津波規模などが判断の決定打となり、それによって旧経営陣の対応は問題とされなかった。しかし、事故前の東京電力社内の検討状況を振り返ると、コストを優先して安全をないがしろにした姿が見える。

 ◆対策を丸ごと「先送り」しなければ

 2008年7月、東京電力子会社が試算した15.7メートルの想定津波への対策会議が東京電力社内であった。担当社員は検討内容をまとめたペーパーを事故対策の責任者で当時常務だった武藤栄・元副社長に示した。防潮堤の建設のほかに、日本原子力発電が東海第2原発(茨城県)で原子炉建屋に防水扉を設けるなどの浸水対策を検討していることも記されていた。...(後略)
KEY_WORD:東電株主訴訟_東京高裁_株主逆転敗訴_:FUKU1_:TOUKAI_GEN2_: