[2025_04_18_04]能登地震、豪雨被害の建物から青石綿飛散か 周辺ではボランティアも(毎日新聞2025年4月18日)
 
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能登地震、豪雨被害の建物から青石綿飛散か 周辺ではボランティアも

 18:23
 能登半島地震とその後の豪雨災害で被害を受けた石川県珠洲市のホテルで、発がん性が高いアスベスト「青石綿」が露出したままになっていることがNPO法人「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京都)の現地調査で分かった。一部ははがれて地面に落ちており、空気中に飛散している可能性が高いという。ホテルやその周辺では、多数のボランティアが土砂の除去作業などをしており、同センターの永倉冬史事務局長は「すぐに飛散防止対策をするとともに、ボランティアらに危険性を知らせるべきだ」と指摘している。

 ホテルは、川沿いに3棟が並ぶ「ホテル海楽荘」。2024年1月の能登半島地震で建物の壁が一部崩れた。同年9月の豪雨による土石流で建物は再び損壊し、3棟の内部に土砂などが流入した。
 同センターは今月、土石流によって壁に大きな穴が開いた最も上流の建物(鉄骨3階建て)のはりや柱の上部に、青みがかった耐火材が施されていることを発見。はがれたり、土砂によって削り取られたりしたような跡も多くみられ、地面には直径約2〜10センチの塊5個が落ちていた。これらを東京都内の専門機関で分析したところ、青石綿と確認された。

 土石流で建物内に堆積(たいせき)した土砂の除去には多くのボランティアが参加しており、青石綿が飛散する状況で作業をしていた可能性がある。また、青石綿が混入しているとみられる土砂は、ホテル前の国道付近に積み上げられたままで、同センターが調査した際も、周辺で数人のボランティアが活動していた。
 ホテル側によると、地震後に石川県から石綿の存在を指摘され、崩れた壁を修理して飛散を防いでいた。だが、豪雨による土石流に襲われ、経営者の男性が死亡。建物の外に約2メートルの土砂が堆積していたこともあり、ホテル側が壁の破損などの詳しい状況を知ったのは、土砂が取り除かれた後の今年3月ごろだったという。
 永倉事務局長は「完全に密封すべき青石綿が覆われずにむき出しになっていた。土砂は青石綿を巻き込んで、下流側の棟にも流れ込んだ状況だった」と指摘。調査時もボランティアが活動していたことを踏まえ「対策が取られるまでボランティアが近づかないように警告すべきだ」と話している。
 石川県は毎日新聞の取材に「現地の状況を確認している。石綿を含有している可能性を考え、ホテルには飛散防止策をし、ボランティアを受け入れないよう要請した。調査を踏まえ必要な対策を検討したい」と説明した。【大島秀利】

アスベスト(石綿)

 太さが髪の毛の数千分の1程度の極めて細い繊維状の鉱物。飛散したものを吸い込むと、20〜60年の潜伏期間を経て中皮腫や肺がんなどを発症する恐れがある。白石綿や茶石綿などの種類があり、特に青石綿は危険性が高い。青石綿を材料として使った工場周辺の住民に多数の発症者が出たケースもある。
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