[2024_08_20_08]なぜ料金前払い?東電が「発電ゼロの原電」に1400億円_川口雅浩・経済プレミア編集部(毎日新聞2024年8月20日)
 
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なぜ料金前払い?東電が「発電ゼロの原電」に1400億円_川口雅浩・経済プレミア編集部

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 東電なぜ原電に前払い(1)

 東京電力が原発専業の日本原子力発電に毎年支払う基本料金(年550億円)とは別に、原電の安全対策の工事費用として、2021年度から3年間で約1400億円を支払っていると、24年8月7日、毎日新聞デジタルで報じた。この支払いは何を意味しているのだろうか。

 この約1400億円は東電が「将来の電力料金の前払い金」として原電に支払っているものだ。東電はこれを原電への「資金的協力」だと説明する。
 原電は東電など大手電力会社が出資する原発専門の電力会社だ。大手電力に原発で発電した電力を販売してきたが、11年5月から原発が全基停止しており、発電はゼロだ。今後も原発が再稼働できる見通しは立っていない。そんな原電に東電はなぜ「前払い」を続けるのか。

 東北電力は債務保証だが

 大手電力会社の中で、原電が必要とする原発の安全対策費を「将来の電力料金から前払い」しているのは東電だけだ。
 東電が「前払い」で支払った約1400億円は、原電が進めている東海第2原発(茨城県)の安全対策費に使われている。東海第2原発は1987年の運転開始から45年超となる老朽原発で、津波対策の防潮堤など総額2350億円の安全対策工事を進めている。

 他の大手電力の原電への対応はどうか。東北電力は東電のような「将来の電力料金の前払い金」ではなく、原電が安全対策に必要な資金を民間の銀行から借り入れる場合、債務保証を行っている。
 原電は23年4月、みずほ銀行など11行から750億円、日本政策投資銀行から290億円を借り入れている。東北電力は関西電力、中部電力、北陸電力とともに、これらの借入金に債務保証を行っている。原電は24年4月、同額を借り換え、東北電力など大手電力は債務保証を続けている。
(後略)
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