[2025_10_27_04]高市政権が原潜保有の道に踏み込んできた 連立相手がブレーキからイケイケに変わって「一気にやりやすく」(東京新聞2025年10月27日)
 
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高市政権が原潜保有の道に踏み込んできた 連立相手がブレーキからイケイケに変わって「一気にやりやすく」

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 高市早苗政権が「次世代の動力を活用」した新型潜水艦の保有を推し進めようとしている。原子力潜水艦を念頭に置いているとみられ、保有に突き進めば原子力の平和利用との整合性が問われる。原潜は技術的には核ミサイルを搭載することも可能だ。高市首相は過去に非核三原則の見直しに言及しており、市民や識者からは懸念の声が上がっている。(佐藤裕介)

 ◆原子力は平和利用が原則なのに

 「原子力の平和利用という原則のもとで日本は原子力潜水艦を持たないできたのに、いよいよここに踏み込んできた」。
 16日に国会内で開かれた集会。約40人の市民ら参加者を前に、武器取引反対ネットワークの杉原浩司代表がマイクを握り、防衛省が設置した「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」が9月に提言した報告書を説明した。

 市民や宗教関係者が参加した集会=16日、国会内で(佐藤裕介撮影)

 同会議は榊原定征経団連名誉会長を座長に、北岡伸一東大名誉教授、島田和久元防衛事務次官、杉山晋輔元駐米大使ら17人で構成。導入を検討すべき装備として、敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つミサイル垂直発射装置(VLS)搭載の最新鋭潜水艦を例示した。

 ◆「抑止力強化を重視して進めるべき」

 報告書はこの潜水艦について、「抑止力の大幅な強化につながるため、重視して整備を進めていくべき」と指摘。長射程ミサイルを備え、長距離、長期間の移動や潜航ができるよう「従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用することの検討も含め研究、技術開発を行っていくべきだ」などと求めた。
 原潜について、これまで日本政府は「原子力基本法の現行解釈に従えば、わが国が保有することは難しい」(林芳正前官房長官)との立場だった。
 だが、高市政権の小泉進次郎防衛相は22日の記者会見で原潜保有について「あらゆる選択肢を排除しない」との見解を示した。

 ◆軍事用の原子炉を持つということは…

 原潜は米国やロシア、中国などの核保有国が保有している。動力に原子力を利用する原潜はディーゼルエンジンなどを使った通常の潜水艦よりも長期間にわたって高速の移動が可能で、敵に見つかりにくいなどの特徴がある。
 杉原氏は集会で、原潜保有の検討について「軍事用の原子炉を持つということは核保有に向けた『地ならし』にもなり得る」とも指摘。「非常に重大で危険な動きだ」と訴えた。
 参加者の日蓮宗教師の小野文b(ぶんこう)さんは「原潜(の保有検討)はいつか日本も『核保有したい』という思いがあるからじゃないか」とした上で「一方的な軍拡を止めないといけない」と懸念していた。

 ◆ラサール石井議員「今止めないと、一気に決壊」

 集会であいさつする社民党のラサール石井参院議員=16日、国会内で(佐藤裕介撮影)

 同じく参加者の一人の高野由紀さんは取材に「原潜は全く必要ないと思う。知らない間にどんどんと軍拡が進んでいってしまうのが怖い」と語る。
 集会であいさつした社民党のラサール石井参院議員は集会後の取材に「原潜保有は憲法に違反しているのではないか」とした上で「いつの間にか、なんとなくで政策がどんどん変わっていくのはいかにも日本らしい」と指摘。
 「政府は今、少しずつ既成事実を作って軍拡をやっていこうとしている。だが、その前段階で止めておかないと、『ダム』は一気に決壊してしまう。そうなってからでは遅い」と警鐘を鳴らした。

 ◆自民議員「有力なオプションになる」

 国民的な議論もないまま、日本が原潜のように極めて重大な兵器の保有に向かって突き進んでしまってもいいのだろうか。

 連立政権合意書に署名した自民党の高市総裁(右)と日本維新の会の吉村代表=20日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 「公明が連立を離れて『イケイケ』... (後略)
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