[2025_10_17_03]【霞む最終処分】自らの都道府県で除染土再生利用 「賛成」ゼロ 政府に丁寧な説明求める声 除染廃棄物全国知事調査(福島民報2025年10月17日)
 
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【霞む最終処分】自らの都道府県で除染土再生利用 「賛成」ゼロ 政府に丁寧な説明求める声 除染廃棄物全国知事調査

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 福島民報社が福島県を除く都道府県知事46人を対象に実施したアンケートでは、東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌を自らの都道府県内で再生利用することへの賛否を聞き、「賛成」はゼロだった。3人が「反対」と答え、「どちらともいえない」「その他」との回答は計34人となった。再生利用を進めるために政府が講じるべき施策については、丁寧な説明、理解醸成、安全性確保、社会的な合意形成などが挙げられた。

 各都道府県知事の回答は【表】の通り。「反対」と答えたのは山形、山梨、鹿児島3県の知事。山形県の吉村美栄子知事は「風評被害への懸念があり、県民の理解が得られない」と理由を示した。

 静岡県の川勝平太知事は「その他」とした上で、「道路の盛り土などへの使用は、将来的には検討の対象になり得る」との見解を明らかにした。自然災害による土壌流出の恐れがない場所での活用、福島県から静岡県までの搬出コストの負担など、政府の技術面・財政面の支援の必要性を強調した。

 再生利用を進めるために政府が講じるべき施策は、自由記述で回答を求めた。鳥取県の平井伸治知事は「科学的根拠に基づいて丁寧に説明することが優先」と記し、国民的理解の醸成が重要との考えを示した。徳島県の後藤田正純知事は除染土壌の安全性に関する十分な情報開示を求めた。

 中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)に一時保管されている除染廃棄物を円滑に県外で最終処分するには、処分量を減らす努力が求められる。環境省は放射性物質濃度が比較的低い土壌を道路や堤防、緑地などの公共工事に使う方針を示している。

 再生利用の実現に向け、環境省は県外での実証事業の候補地に茨城県、埼玉県、東京都の同省所管施設3カ所を選んだ。ただ、風評被害や健康影響を懸念する地元住民らの反発が相次ぎ、事業実施には至っていない。候補地がある茨城県の大井川和彦知事は「住民の理解が不可欠。(国民向けの)対話フォーラムなど理解醸成の取り組みを強化する必要がある」、埼玉県の大野元裕知事は「安全性を大前提として、誰もが納得できるような明確かつ合理的な基準の作成が重要だ」と訴えた。

【調査の方法】1月下旬から3月上旬にかけて福島県を除く都道府県知事46人を対象に実施した。アンケート用紙を各都道府県の東京事務所を通じて配布し、42人から回答を得た。石川県は能登半島地震に伴う災害対応のため未回答。和歌山、大分、沖縄の各県は回答しなかった。

■自らの都道府県内で除染土壌を再生利用することに対する賛否

・賛成=0人

・どちらかといえば賛成=0人

・どちらかといえば反対=0人

・反対=3人

山形、山梨、鹿児島

・どちらともいえない=11人

岩手、秋田、栃木、埼玉、福井、長野、愛知、滋賀、奈良、長崎、宮崎

・その他=23人

青森、宮城、茨城、群馬、千葉、新潟、富山、静岡、三重、京都、大阪、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、高知、福岡、佐賀、熊本

※北海道、東京、神奈川、石川、岐阜、和歌山、愛媛、大分、沖縄は無回答
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