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[2025_07_26_01]震災後初の原発新設 なし崩しでは禍根を残す(毎日新聞2025年7月26日) | ![]() |
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参照元
04:00 問題を置き去りにしたまま、この先何十年も原発を使い続けるというのだろうか。なし崩しに新増設を進めては禍根を残す。 関西電力が福井県の美浜原発で、新たな原子炉の建設に向けた地質調査を始める。東日本大震災後、新設計画が具体化したのは初めてだ。調査は数年を要し、完成までには20年程度かかるという。 関電の動きは、国の原発回帰路線に歩調を合わせたものだ。今年改定されたエネルギー基本計画では、原発への依存度を「可能な限り低減する」との文言が削除された。東京電力福島第1原発事故以来の方針を転換した。現在10%に満たない原発比率を40年度に2割程度に引き上げる目標も掲げた。 デジタル社会の進展で、電力需要の拡大が見込まれる。政府は、安定供給と脱炭素の両立には、再生可能エネルギーの拡大だけでは不十分とし、「原子力の継続的な活用が不可欠だ」と主張する。 老朽原発の廃炉が進む中、経済産業省は電力会社に新増設を働きかけてきた。本命が関電だった。 ただ、原発回帰には問題が多い。地震大国で使い続けるリスクは軽視できない。関電は福島事故を教訓に安全性を高めた新型炉を設置すると強調するが、地震などとの複合災害への不安は根強い。 関電の原発は福井県に集中立地しており、稼働に伴い使用済み核燃料がたまり続けている。地元は県外搬出を求めているが、関電は明確な道筋を示せていない。 使用済み核燃料を再処理する際に発生する高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分地の選定も難航している。 コスト面の課題もある。新設には1基当たり1兆円以上の巨額投資が必要だ。政府は電力会社に投資を促すため、建設費や維持費を電気料金に上乗せして回収できる仕組みを講じた。ただ、海外では建設費が想定を大幅に上回る例も相次いでおり、利用者負担が重くなる懸念がある。 原発は発電量が天候に左右される再生エネに比べ、安定供給に資する面はある。だが、事故や核のゴミという問題がある上、「安価な電源」とも言えなくなった。 政府や電力業界がこれらの難題から目を背けていては、国民の理解は得られまい。 |
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