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[2025_07_25_05]関電が原発新設方針 果たして持続可能なのか 社説(中国新聞2025年7月25日) | ![]() |
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参照元
04:00 関西電力が福井県内で新たな原発の建設に向け、地質調査に乗り出す方針を表明した。美浜原発の敷地内とその周辺が対象で、建て替えによる新設への第一歩となる。 2011年の東京電力福島第1原発事故後に止まっていた原発建設の動きが具体化したのは初めて。「脱原発」の流れから再び「原発頼み」に戻るかの大きな転換点だ。 美浜原発のある若狭湾周辺は、7基が再稼働する「原発銀座」。新設となればさらに過密が進む。この地から出る使用済み核燃料を運び込む中間貯蔵施設が山口県上関町で検討されている。政府の言う「原発の最大限活用」の実態は、あまりにいびつである。 関電は原発の比率が高く、再稼働に積極的だ。ただ運転開始から年数がたった古い原発が多い。10年に美浜1号機の建て替えを前提に調査を始めたが、福島の事故でストップ。関電からすれば今回は調査「再開」の位置付けだ。 政府も地ならしを進めた。岸田政権が廃炉となった原発の建て替えを容認すると、石破政権はエネルギー基本計画から「依存度低減」の文言を消した。今回の参院選後の発表というタイミングも政府との調整を疑わざるを得ない。 関電の場合、電力を多く使うのは大阪などの大都市だ。消費地から遠く離れた過疎地が原発のリスクを負う構図は変わっていない。 立地自治体には国からの「原発マネー」が入る。一度依存すると抜け出せない。立地が集中すれば、事故が連鎖する恐れもあり、リスクは大きくなる。住民は避難計画に不安を抱いている。それらを置き去りにしていいのか。 関電は次世代型原発「革新軽水炉」を採用する方針だ。既存の原発をベースに、事故時に溶融した核燃料(デブリ)を受け止める装置などを備え安全性が向上したとされる。 ただし建設費は1基1兆円といわれる。採算が厳しい上、地質調査から原子力規制委員会の審査などを経て、実際の稼働まで20年程度は必要とみられる。 こうした懸念に、政府は建設費の一部を電気代として幅広く回収する仕組みを検討する。利用者全体に新設の負担を求める仕組みには違和感が拭えない。電気料金の引き上げにつながる可能性もある。 原発活用で先頭を走る関電だが、使用済み核燃料が原発敷地内にたまり続け、対応を迫られている。搬出先となる青森県六ケ所村の再処理工場は稼働が見通せず、福井県からは再稼働の条件として県外での保管を求められてきた。 その保管先として念頭に置くのが、中国電力が上関町で計画する中間貯蔵施設だ。核燃料サイクルは破綻しており、福井で出た使用済み核燃料の事実上の永続的な置き場になることも想定される。 福島の事故も全く終わっていない。廃炉作業はデブリの本格取り出しの見通しがついていない。原発を制御できず多くの人々の営みを壊した国難の教訓を思い起こせば、原発活用にもっと慎重であるべきだ。取り巻く状況は、およそ持続可能とは思えない。 |
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KEY_WORD:MIHAMA_:FUKU1_:ROKKA_:岸田首相_次世代-原発_検討指示_:中国電力_上関町_中間貯蔵_検討_:廃炉_:福1_デブリ回収_: | ![]() |
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