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[2025_05_27_02]【詳報】南海トラフ「確率水増し」を追及した記者も驚いた…80%計算モデル提唱者が自ら「間違いの可能性」(東京新聞2025年5月27日) | ![]() |
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参照元
20:40 「30年以内に80%」とする政府の南海トラフ地震の発生確率。 この根拠となる計算モデルの提唱者である島崎邦彦・東京大学名誉教授が26日、千葉市での講演で、自ら提唱した仮説に誤りがある可能性を示唆した。 もし、その計算モデルが誤っているとなれば、「80%」は根拠を失う。 東京新聞の報道を受け、政府が南海トラフ地震の確率変更の検討を進める中での提唱者の「方針転換」。それは、南海トラフ地震の確率が水増しされていると追及してきた私にとって、驚くべきものだった。(小沢慧一) ※記事の後半では、島崎氏の講演内容や報道陣との主なやりとりも紹介しています。 日本地球惑星科学連合大会で発表する島崎東大名誉教授=千葉市で ◆頑として自説を曲げなかったのに… まさか提唱した本人が、時間予測モデルが間違っている可能性を言い出すとは。 私は、これまで取材の成果をもとに、島崎氏が提唱したモデルの矛盾点を指摘してきた。 それでも島崎氏は「時間予測モデルは揺るがない」と、間違いの可能性を認めなかった。昨年末には、私と共同研究した橋本学・京都大学名誉教授が発表した室津港の調査に関する論文(昨年2月発表)に、反論する論文を発表している。 南海トラフ地震の想定震源域と、時間予測モデルの基データとなっている室津港の位置。 島崎氏が、今回講演した「日本地球惑星科学連合大会」は、地震学会の春の学会発表の意味合いもあり、ここで発表することは研究者への影響力が大きい。 この大きな舞台で、改めて、自分が提唱した時間予測モデルがいかに正しいかを述べる――。そう思って、私は身構えて講演を傍聴した。 ところが、島崎氏はこう述べたのだ。「2030年を数年過ぎても南海トラフ地震が起きなければ、時間予測モデルは間違っていると言える」 南海トラフ地震の想定震源域と、時間予測モデルの基データとなっている室津港の位置。 ◆突然の表明、講演後に明かした本音 提唱者であり、地震学の権威であり続けた島崎氏自身がそう認めたのである。 会場は騒然とした。研究者から何人も質問の挙手が上がり、発表後は報道陣の囲み取材が発生した。 島崎氏自身も、もともと時間予測モデルで正確に地震が予測できるとは思っていなかったようだ。取材後の報道陣への取材で、こう本音を漏らした。 「あんな単純なもの(計算モデル)がそのまま入る(当たる)とは思えない。ただこれまで(宝永、安政、昭和南海地震)のが当てはまってしまっていた」 ◆背景に政府の確率見直しの動き? 驚きと同時に、ずっと間違いの可能性を否定してきた島崎氏が、ついに計算モデルの誤りの可能性に言及したことに、問題を追及してきた記者としては一定の手応えも感じた。 またタイミング的に、この発表は政府の南海トラフ地震の確率見直しに影響するのではないか、とも感じた。 実は、地震確率を発表する政府の地震調査委員会が、現在、南海トラフ地震の確率の見直しに向けて準備を進めている。 関係者によると、政府は、橋本名誉教授らの論文が発表されたことを受け、2024年から見直し検討を開始。会議には、橋本名誉教授らの論文だけでなく、それに反対する島崎氏らの論文も検討材料として、議論しているという。 議論は詰めの段階に差し掛かっており、80%の確率表記に変更が加えられるとみられる。 26日の島崎氏の講演は、地震調査委員会の関係者らも聞いている。島崎氏はそうした状況を意識していたのだろうか。 講演後、島崎氏に「政府は確率変更に向けて検討しているらしい」と水を向けてみたが、「そうなんですか」と知らない素振りだった。 あわせて読みたい 南海トラフ地震の発生確率「80%」が覆る可能性 地震調査委が新データを基に見直し 国は「中身話せない」 ◆「あとは余生を楽しみたい」 囲み取材が終わり、私は改めて島崎氏に「社会にインパクトを与えた論文の生みの親。それを『間違っているかもしれない』というのは、覚悟が必要だったのではないか」と問うた。 日本地球惑星科学連合大会で発表する島崎東大名誉教授=千葉市で 島崎氏はその理由をこう答えた。 「私は今年80歳になる。最近やせてきたし、これから..(後略) |
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KEY_WORD:南海トラフ巨大地震_:NANKAI1946_:HOUEI_:ANSEITOUKAI_: | ![]() |
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