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[2025_03_26_05]天の川銀河のスピード狂 最速で駆け抜ける惑星系発見(日経新聞2025年3月26日) | ![]() |
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参照元
02:00 太陽系はおよそ2億1000万年かけて天の川銀河の中心の周りを一周している。秒速約240キロメートルという驚くべき速さで巡っているわけだが、系全体が同じ一定の速度で動いているので私たちがそれを感じることはない。だが、新たな研究によると、太陽系は天の川銀河のある惑星系に比べるとゆっくりな系のようだ。その惑星系は秒速541キロメートルで動いており、既知の惑星系で最速だ。 天の川銀河の中心の領域には星が密集して存在している=NASA/ESA/Tom M. Brown 「その速さは並外れており、ちょっと衝撃的だった」とAstrophysical Journal誌に投稿された今回の論文の筆頭著者であるメリーランド大学の天体物理学者ショーン・テリーはいう。今回の研究結果は「そのような惑星系の存続可能性に関する問い」をもたらした。 この天の川銀河のスピード狂は、太陽よりも小さくて暗い赤色矮星を中心とする系だとみられ、地球から約2万4500光年、銀河中心から1500光年ほど離れたところに存在している。この赤色矮星とその随伴惑星と思われるものは2011年に見つかった。テリーらは21年、この惑星系を再び観測し、その随伴惑星が地球の約29倍の質量を持つ巨大ガス惑星である可能性が極めて高く、その公転距離は金星のものよりも大きく地球のものよりも小さいことを発見した。研究チームはまた、この惑星系の21年の位置をその10年ほど前の位置と比較して地図化し、どれくらいの速さで移動しているかを明らかにした。 この速さはこの系が超高速星の惑星系である可能性を示唆している。超高速星は、過去に他の星の重力に何度か遭遇したことによって、あるいは天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールによる重力アシストによって加速した珍しい恒星だ。秒速500キロメートル以上で移動し、既知で最速のものは秒速2000キロメートルを超える。「実に風変わりな星たちだ」とテリーはいう。今回の研究対象の系は、ドラマチックな遭遇後にその速さが2倍以上になったと研究チームは推計している。惑星を伴った超高速星が発見されたのは今回が初めてだとテリーは指摘する。 米航空宇宙局(NASA)系外惑星科学研究所のジェシー・クリスチャンセンは、この惑星系は天の川銀河の中心にある星の密集領域にどのような天体が存在するかについて手がかりを与えてくれるという。そうした銀河バルジの密集した環境によって、そこに形成される惑星系のタイプが変わるかどうかはわかっていないとクリスチャンセンはいう。 詳細は3月25日発売の日経サイエンス2025年5月号に掲載 |
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KEY_WORD:天の川銀河_: | ![]() |
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