[2025_03_14_06]ベルギー最古の原発が運転50年目で閉鎖した 老朽原発を使い倒す日本の政策は間違っている 経産省が掲げる「世界は高経年炉も活用している」は「情報操作」 もともとベルギーは原発の運転期間を40年とする脱原発法を制定 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2025年3月14日)
 
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ベルギー最古の原発が運転50年目で閉鎖した 老朽原発を使い倒す日本の政策は間違っている 経産省が掲げる「世界は高経年炉も活用している」は「情報操作」 もともとベルギーは原発の運転期間を40年とする脱原発法を制定 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

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◎ ベルギー最古の原発のドール1号機(44.5万kw・PWR)が永久停止しました。運転開始は1974年8月28日、停止は2025年1月3日ですが、永久停止を決めたのは2月14日で50年5ヶ月14日の運転期間でした。
 もともとベルギーはヨーロッパでも原子力開発に積極的で、ドール1〜4、チアンジュ1〜3の7基(いずれもPWR)の原発で592.2万kwを発電していました。
 その後、チェルノブイリ原発事故の影響で2003年に脱原発法を制定、これにより2025年までに全原発を廃止する決定をしました。

 しかしウクライナ戦争などの影響でエネルギー状況が大きく悪化し、さらに直近の選挙で連立右派の政権が誕生したこともあり、2025年2月に政府声明で段階的原発廃止政策を撤回し、原発の運転延長を図ることにしました。
 ただし、延長する原発はいずれも1985年に運転開始した比較的新しいドール4(102.6万kw)とチアンジュ3(103万kw)の二基で、他は順次閉鎖する予定です。

◎ この二基は、今後2035年まで運転を延長することとなっていますが、いずれも現時点で40年以下の運転年数なので、10年延長しても50年運転です。
 なお、ベルギーでは現在、ドール原発で3基、チアンジュ原発で2基が稼働中で合計電気出力は411.8万kW。これによる2023年実績の原発の占める電力構成は約40%。
 ドール3号は2022年に、チアンジュ2号は2023年に脱原発法により既に閉鎖されています。
 現在運転中のドール2号機も現在49年目ですが、11月には永久停止を予定しており、老朽原発はベルギーでも順次廃止する動きは変わっていません。

◎ 老朽原発の運転継続に反対してきた市民運動に対して、経産省が掲げる「世界は高経年炉も活用している」の図では、ベルギーの原発が上位に掲げられてきましたが、これは「情報操作」というべきで、もともとベルギーは原発の運転期間を40年と定める脱原発法を制定しており、これに従って2025年に全廃する予定だったところ、例外的に10年間の延長に限って認めたに過ぎないのです。
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