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[2025_02_07_06]2/4東海第二原発の中央制御室で火災事故 原発の心臓部で火災が起きる異常さ 運転中だったら原子炉制御不能か? 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2025年2月7日) | ![]() |
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参照元
04:00 見出し紹介 1.東海第二原発の中央制御室で火災 (上)に掲載 以降は、(下)に掲載 2.原発火災の怖さ…全長1,400kmのケーブル 3.中央制御室火災の怖さ… 原因究明よりも、東海第二原発を廃炉にすることを強く求める 1.東海第二原発の中央制御室で火災 共同通信や東京新聞によると、原電が『東海第二原発の中央制御室で同日午後、火災が発生したと発表した。制御盤と呼ばれる部分から火と煙が出ているのを確認し、消火器を使って消し止めた。放射線の管理区域外で、周辺環境への影響はないとしている。』(東京新聞2月4日17時5分の配信記事) NHKは更に具体的に報じている。一部を紹介する。 『4日午後2時前、東海第二原発の中央制御室に設置されている制御盤の隙間から、こぶし大の大きさの炎や煙が出たということです。現場にいた社員が近くにあった消火器を使って消火活動を行ったところ、火はすぐに消えたということです。』 この時、東海第二原発では何をしていたのか、その点についてNHKニュースでは、 …『当時、中央制御室では、原子炉内の中性子の測定に関する装置の部品が正常に作動するかを確認する試験が行われていて、突然、この装置の制御盤から火が出たということで、日本原電が火災の原因を詳しく調べています。』 中性子束検出器は炉内の中性子量を検出する装置で原子炉制御に不可欠だ。これが正常に作動しなかったり、表示できなくなればスクラム以外では停止操作もできなくなる。 東海第二原発については防潮堤の欠陥工事だけでなく、余りにも問題が多い。 これまでに報道された事件では、特に火災が多発している。 以下、NHKニュースから。 『運転を停止している東海第二原発では、昨年度、ブレーカーから火花が出たり、照明器具で焦げた跡が見つかったりするなど火災が5件相次いで発生し、日本原電は、茨城県と東海村からの厳重注意を受けて、去年12月に火災を防ぐための対策を取りまとめていました。』 他にもボヤ程度とはいえ中央制御室が関係するものでは「2020年2月24日11時52分に原子炉複合建屋屋上の中央制御室空調機室外機制御盤内から火花と白煙を確認」(原電発表文)している。 2023年11月9日に仮設事務所屋外照明用ブレーカーから火災が発生し、2023年度はこのほかにも火災が起きたことから、東海村が原電に対して厳重注意の文章を発している。 以下、山田修村長名で出された2023年11月10日付「東海第二発電所における火災について(厳重注意)」の主な部分を紹介する。 「しかしながら、今年度においても7月19日、10月31日及び11月7日に火災が発生し、今回の火災が4件目となるものである。これは、本村住民の安心・安全の確保の観点から誠に遺憾であり、ここに厳重に注意する。」 「火災が頻発していることを踏まえれば、同所が昨年度に行った管理体制の改善が実質的に機能していないことを示すものであり、防火に対する貴社の組織風土に問題があると判断せざるを得ないと考えることから、機器点検の在り方を見直すことはもとより、防火のための組織的な取組を検討し、報告するよう求める。」 しかし再稼働を差し止めるとか、同意しないとの判断を示すことはなく、言いっぱなしの感が強い。 NHKは今回の火災事故で、茨城県庁で記者会見した原電のコメントも紹介している。 『中央制御室は、原子力発電所のいわば要の場所だ。こうした場所で火災を発生させ、地元や関係者の皆さまに多大なるご心配やご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ないと考えている。原因をしっかりと究明し、再発を防止する対応を取っていきたい』(東海第二原発・金居田秀二副所長) 過去の火災において、県議会からも老朽化が原因ではないかとの指摘が出た際、これを否定してきた原電だが、度重なる火災事故が収まらない原因は、老朽化と人員の能力低下であると考えるべきだ。 2.原発火災の怖さ…全長1,400kmのケーブル 東海第二原発は、東日本大震災で大きな揺れに襲われ、その後も余震などで繰り返し揺さぶられてきた。 そのため施設、設備には大きな損傷がなくても、電源系統、特に接点に力が掛かったり、腐食で加熱発火するなどが起こり続けていると考えられる。 もともと東海第二原発は、運転開始以来47年以上経過している。難燃性のケーブルを使用する規制前だったため、再稼働の条件として可燃性ケーブルを燃えにくくする対策をしているが、もともと燃えやすいケーブルだから発火しても不思議ではない。 今回の火災はケーブルではないかもしれないが、発火した場所からケーブルを伝って各地に燃え広がる危険性は指摘されてきた。 1975年3月22日に、米国ブラウンズフェリー原発1号機の火災事故が発生した。火災はこれがきっかけで原子炉制御にも支障が発生した。幸い過酷事故にはならなかったが、そうなってもおかしくない事故のレベルだ。 これについて原子力研究開発機構のATOMIKA(原子力辞典)では次のように記載している。 「格納容器貫通部の漏洩検査を行っていた際、検査に用いていたローソクの火が貫通部のシール材(ポリウレタン)に引火した。結果的にケーブル分配室と原子炉建屋の2カ所での火災となった。ケーブル分配室の火災は約4時間で鎮火されたが、原子炉建屋の火災の消火には7時間以上を要した。数多くのケーブルが焼損し安全設備や機能が影響を受けた。特に電気/制御機器が利用できなくなったため、一時は炉心冷却が不十分な状態となるなど極めて深刻な事態となったが、運転員の適切な対応措置により大事には至らなかった。」 小さな火種から、原発全体が災に包まれ、過酷事故の寸前にまで至ったことがわかる。 東海第二原発差止訴訟でも、ケーブル問題は追及されている。 「工事が難しく難燃性ケーブルへの取り替えが困難」として、「ケーブルの難燃性」を「ケーブルトレーとしての難燃性」に置き換えてしまい、規制委員会では「我々(規制委)を誘導するつもりか」「いったい審査基準のどこにあてはまるのか説明せよ」と言われる始末であった。全長1,400kmに及び原子炉内を縦横につながっているケーブルはどこが発火点であれ火災が発生すればケーブルが延焼素材となり建屋全体に火災が広がる。非難燃性ケーブルがわずかでも残ることは決定的リスクとなる。 基準規則および火災防護審査基準では「ケーブルは難燃性ケーブルであること」と明記されており、解釈や裁量の余地はない。 (準備書面(48)2017年7月20日付) 3.中央制御室火災の怖さ… 原因究明よりも、東海第二原発を廃炉にすることを強く求める 言うまでもないことだが、原発の中枢部である中央制御室で火災が発生した場合、極めて危険な事態に陥る。 どこの原発でも、福島第一原発事故後、中央制御室に職員が留まり続けることを前提として、過酷事故対策の計画は作られている。 東海第二は、その中央制御室で火災が発生した。消しとめられなければ、人命優先で放棄するしかない。 緊急対策室は別のところにあるものの制御室と同様の機能はないとされている。緊急事態策班が詰めるが、過酷事故対策として準備されているけれど、通常稼働時に中央制御室が使えなくなった場合に対応できるわけではない。 過酷事故に至るような緊急時には、中央制御室からの支援は必須であり、従ってまず、火災の鎮圧から対応することになる。 その意味でも、ここで火災が発生することは、過酷事故対策において、極めて厳しい状況を最初に作り上げてしまうことになることからも、非常に深刻である。 原因究明よりも、東海第二原発を廃炉にすることを強く求める。 |
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KEY_WORD:東海第2-中央制御室-出火_:TOUKAI_GEN2_: | ![]() |
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