| 戻る | 2024年4月6日_山崎ゼミ_レジュメ | 
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 法的には「原子炉等規制法第61条の2の2第一項に基づく原子力規制検査の対応区分「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)から「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更することを決定」した。これにより特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令が解除されたというわけだ。約2年8か月ぶりに「他の原発を有する電力会社」と同じ規制区分になった。 2020年9月21日(※)に発覚した「IDカードの不正使用及び核物質防護設備の機能の一部喪失」により、東電に原発を運営する資格があるのかが問題になった。 ※編集者注:「不正入室」が2020年9月21日、発覚は2021年1月23日ではないか。関連記事は コチラ ![]() 発表文 から説明を読み解く。 規制委は2023年12月27日、事実上の運転禁止命令を解除した。 2023年5月から12月までの間に「追加検査」として実施された規制庁による検査の結果、以下のとおり「是正が図られている」と判断している。 ======================== 原子力規制検査報告書 ======================== (1)正常な監視の実現 ・荒天時における特別な体制が整備されたことにより、立地地域の自然環境に臨機応変に対応する監視体制が確立し、見張人による正常な監視が行われるようになったこと ・定期的な訓練によって監視機能や見張人等の評価が行われ、実効性の検証を経て監視体制を更新していく仕組が整備されるとともに、現場実態を踏まえた効果的な不要警報対策が継続されるようになったこと ・変更管理の業務手順を原子力安全部門の手順に統合したことにより、部門間での相違がなくなり、原子力安全辞門との相互チェック機能が発揮され、変更時の影響評価や対策が適切に行われるようになったこと ・変更後の業務手噸で実施きれた変更管理については、所定どおり影響評価等の運用が行われるようになったこと ・PPCAP(防護是正措置計画)に原子力安全部門や審議内容に知見を有する者を加え、原因究明等の議論が活発に行われるとともに、迅速な情報収集を行う仕組を導入したこと。さらに不適合の類似性や頻発性を踏まえた傾向分析も開始され、多面的で実効的な議論が行われるようになったこと ・協力会牡からのCR起票が始まり、常日頃の気付き事項がPPCAPで一元管理されるようになり、CRの期限内処理の促進と相まって、現場が抱える様々な課題への対応が速やかに行われるようになったこと ・核物質防護の実務経験者からなる核物質防護モニタリング室員によって、現場の状況に応じた柔軟で独立した行動観察が行われるようになり、アンケート調査も踏まえた分析結果を直接社長に報告し、社長からの指示を核物質防護部門に伝達して改善を求めるといった一連の活動が自律的に行われるようになったこと ・核物質防護モニタリング室自身の気付き事項を自ら主体的にCR(コンディション・レポート状態報告書)起票し改善を主導する取組も始まり、核物質防護規定に明紀せれた「劣化兆候を把握した場合は迅速かつ適切に対応し、継続的な核セキュリティの向上を図る」方針が実施されるようになったこと ============================== 引用終了 ============================== (以上、原子力規制検査報告書(核物質防護に係る追加検査)今和5年12月原子力規制委員会より) さて、これらのことはさほど特別なことではない。むしろ当然されているべき水準の管理である。 しかし東電はそれができていないから、柏崎刈羽原発の特定核燃料物質の移動禁止の措置を命じられた。 それを解除してすぐに、使用済燃料を運び出す計画を立てたり、7号機の炉心に燃料を装荷する計画を申請するなどは、あまりに拙速である。 IDカ−ドの不正使用 は、中央制御室への出入権限を有する職員が自分のIDカードを紛失(後に見つかる)したと思い、同僚のIDカードを勝手に使って入域した。その際に他人のIDカードを利用した別の者の中央制御室への入室を許してしまったことが、セキュリティ上の重大な欠陥と見なされた。 2021年1月27日には「核物質防護設備の機能の一部喪失事案」が発生する。 柏崎刈羽原発の侵入検知器が下請け会社の従業員により破損させられるという事件 が起きる。これがさらに別の問題に発展する。 2月12日、この装置の復旧を説明する際に、過去に監視装置が故障し、その際復旧に時間がかかっており12台の装置について代替措置をとっていることを説明した。また、他の侵入検知器3か所の故障について、故障状況・復旧予定等の進捗状況に関する資料を提出。その際、東電は、代替措置を取っていたから問題ないと認識していたが、 規制庁は合わせて15か所のうち10か所は代替措置が不十分であり、さらに6か所については30日以上の期間不十分な状態が継続していることを指摘し、規制基準に逸脱していることを指摘 した。これを受けて東電は 2月19日に「核物質防護設備の機能の一部喪失」を公表 した。 2021年3月23日、原子力規制庁は東電に対し、対応区分を第4区分へ変更すること及びこれを受けて追加の原子力規制検査を実施することを 通知 した。この「2事案」について、直接原因や根本的な原因の特定、安全文化及び核セキュリティ文化の劣化兆候(第三者により実施された評価を含む。)を特定し、その内容を踏まえて、改善措置活動の計画を定め、21年9月23日までに報告するよう指示した。 2021年3月23日に「対応区分を第4区分へ変更」し追加の原子力規制検査を実施することとした。 この結果、期日を遡って2021年1月1日から規制区分の「4」とされた。原子炉等規制法に定める 「実用発電用原子炉の対応区分」 とは、次の通り。 ===================== 実用発電用原子炉の対応区分 ===================== 第五区分 許容できないパフォーマンス(監視領域における活動日的を満足していないため、プラントの運転が許容されない状態) 第四区分 複数、繰り返しの監視領域の劣化(各監視領域における活動日的は満足しているが、事業者が行う安全活動に長期間にわたる又は重大な劣化がある状態) 第三区分 監視領域の劣化(各監視領域における活動目的は満足しているが、事業者が行う安全活動に中程度の劣化がある状憩) 第二区分 規制機関による対応(各監視領域における活動目的は満足しているが、事業者が行う安全活動に軽微な劣化がある状態) 第一区分 事業者による対応(各監親領域における活動日的は満足しており、事業者の自律的な改善が見込める状態) ============================== 引用終了 ============================== 最も劣化した第五区分の一つ下、第四区分として評価された柏崎刈羽原発は、事実上の運転停止命令である第五区分と同様の規制区分とされた。  | 
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 地震動についてこれまでは、 最大値が87.1ガル と各号機のデータは公表されたが建屋の他の階や地盤系の地震データは公表されてはいない。 また、東電は、地震のデータを原子力規制庁(規制庁)に提供し、原子力規制庁のHPにて当該資料が公開されたため、これにあわせて能登半島地震における全号機の原子炉建屋基礎盤の加速度値を公開したと説明している。東電が進んで公表したわけではない。 なお、東電は「原子炉建屋基礎盤以外の観測値については、建屋応答の影響等を分析の上、その内容を踏まえて、必要に応じて情報を公開したいと考えております。」と回答している。 地震の採れで記録された最大値は3号機の87.1ガルで、柏崎刈羽原発で想定する基準地震動による地震動と比べて下回っていた。 しかし柏崎刈羽原発にとって「小さく遠い地震」の揺れで、なぜかスクラム信号が発信される規模の大きさを観測したと報じられている。 即ち、原発を停止させるために設置された地震計では120ガルを超える揺れを観測していたことになる。(原子炉自動停止の「地震加速度大」設定値は原子炉建屋の最地下階床で水平120ガル、上下100ガル、原子炉建屋の中間階床で水平185ガル。) もちろん、地盤と建家内では揺れの大きさが異なることは普通で、建屋内に設置されているスクラム起動用地震動は大きくなると思われるが、それでも原子炉を緊急停止させる「地震加速度大」スクラム設定値を6号機だけで超えていた。他の号機のデータは公表されていないため、ばらつきの範囲なのかどうか判断できない。 東電にはそういった情報を全て公開するように求めている。 なお、地下階の地震計の揺れは1号機が76.3(ガル、以下同じ)、2号機が75.2、3号機が87.1、4号機が66.7、5号機が80.9、6号機が86.4、7号機が84.2である。 ![]()  | 
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 2007年7月の中越沖地震では、1から4号機の「荒浜側」と5から7号機の「大湊側」では揺れが全く異なっていた。 大湊側に比べて荒浜側で揺れが大きくなり、3号機で起動変圧器が炎上するなど大きな被害が出ていた。 データでもそのことははっきり示されていて、荒浜側の最大加速度は1号機の680ガルに対して大湊側は5号機の442ガルと、1.5倍も大きかったのである。 一つの敷地に発つ原発、差し渡しで最大1500メートルほどの範囲で揺れが大きく異なる理由は、 起震断層(揺れを発生させる断層面のこと)から原発までの間に、まるでレンズのように揺れの波を集める構造があったことが理由とされる。 これを「域」などと呼んでいるが、地震波が伝播する間に軟弱な地盤にさしかかったところで揺れが低周波数に変換されて速度が相対的に遅くなり、実際に発生している低周波数の波と合わさって強い揺れになり襲いかかったという。 これは中越沖地震の震源域からの波で起きたことだが、では、他の地震ではどうなのか、精密な解析がされないと特定の地震の発生させる揺れに対して本当の耐震強度が分からない。 しかし東電には問題意識は無いようで、能登半島沖地震について地震記録を精査して揺れの変化を捉えようとする分析を行っている形跡は無い。 このほかに東電が公表した地震の影響としては、使用済燃料プールからの溢水のデータであるが、地震によるスロッシングで溢れた水の行方を追ったものだ。 これ以外に積極的に公表されたデータは無い。 中越沖地震による「地盤レンズ」の影響は、−定の方向からの地震動により存在が浮き彫りになったが、その他の方角、距離、揺れの強さの地震動でいかなる変化を生じるのかを知ることば重要である。しかし東電にはそうした問題意識がないと思われる反応である。 地震動の他にパラメータとして、どのような情報、データを記録しているのか これは、津波情報についてもあてはまる。津波の記録は「存在しない」という。  | 
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 これら地域では、いずれも今回の地震で甚大な被害を出している。特に高屋地区は震源地のすぐ近くで海岸線が2mも隆起し、地盤が大きく破壊された。道路も寸断されて−時孤立状態になった地域が多数出現した。原発立地には最悪の土地柄であったことを事実を持って証明した。 一方、柏崎刈羽原発についても、2007年の中越沖地震で原発内の地震計のみが計測震度6.5を記録し、公式では最大震度6強とされる中越沖地震で、 柏崎刈羽原発内のみで震度7(計測震度6.5以上は震度7である)を記録 することになり、原発立地点が最も大きく揺れる地震だった。 こちらも本来は「立地不適当」であるべき場所だった。 東電は7機の原発を再起動させようと無理に無理を重ねる耐震補強等を行い、1,5,6,7号機についてはその後再稼働した。しかし地震発生時に運転中だった3機は、発災から17年の今に至るも止まり続けており、東電は否定しているが甚大な影響を受けた結果だと思われる。 そして今回、直線距離で120キロも離れたところで能登半島地震が発生し一定の影響を受けたが、現在は、さらに 能登半島から佐渡沖にかけての海底に「割れ残り」の断層がある可能性が指摘 されており、これが活動した場合M7以上の地震と3m程度の津波が来る可能性があるとされている。 「能登半島の北東側に位置する北西傾斜の活断層(2つの断層、合計長さ約57km)はほとんどすべっておらず、これらの活断層周辺でM7クラスの地震が発生すると、佐渡島を含む新潟県沿岸で3m程度の津波が予測されている(1/16東京大学地震研究所)」。 ![]() ![]()  | 
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 その答えは「発電所周辺では詳細な地質調査により、敷地内および敷地近傍(半径5km程度)には活断層はないと評価しております。このため、発電所において能登半島地震のような地盤の隆起が生じる可能性は極めて低いと考えております。」想定していないのだから、評価もない。どの程度の影響を受けるかなど考慮の外である。 例えば「(佐渡海盆)東縁断層は存在し,この地域の活構造の基本的枠組であり,その長さからみてM7.5級の大地震発生能力をもつと考えられる.なお、F-B断層は海底下浅部の短波長の褶曲構造から推定されたものであり,東縁断層主部から深さ数kmのところで枝分かれしたものと思われる.よって,F-B断層が中越沖地震を発生させたというのは適切ではない。海盆東縁の北半部では、東縁断層の上端がやや深くにあって,枝分かれ断層が生成していないとみられる(渡辺,2008).」との見解について、東電は次のように主張する。 東日本太平洋沖地震の発生前に東電は、地震本部の長期評価により比較的高い確率で貞観津波級の津波が福島第一原発を襲う可能性が指摘され、 2008年に自ら調査を委託して15.7mの津波到来の結果を得ていた にもかかわらず、漫然と運転を続け対策を先送りしたことで原発事故を招いた。 このことを反省して現在「中越沖地震や福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ」ているのであれば、柏崎刈羽原発に迫る危険性を考慮して原発を廃止するべきだ。 海底超音波検査は精密に地盤の変化を捉えることができる技術ではなく、海底超音波検査で全ての活断層が明らかになるものではないことば、能登半島地震や中越沖地震でも明らかだ。言い換えるならば、断層がないとことが断定できるレベルではない。「再検討」を行うべきだ。  | 
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 ところが原発からは津波情報は奇妙なことに全く出ない。報道発表もない。 津波が来なかったのではない。柏崎市鯨波では0.4m、上越市では海抜6メートルの内陸部にまで到達していた。しかし原発の記録に津波はない。 新潟日報は1月12日の記事で東電発表として 「津波については潮位計がないため正確な数字は分からないとしつつ、トンネルを通じて海水を引き込んでいる敷地内の取水槽で上下1メートルの水位変動があった」 と報じている。柏崎刈羽原発には潮位計は設置されていない。取水槽の中の水位だけで見ているのだとしたら、ここがスケールアウトしたら波高は分からなくなる。専用港などに潮位計がないとは危機管理としても失格だ。外部カメラはあり、津波監視用としているが、いうまでもなく夜は役に立たない。 「発電所内で海水面水位のデータとしては原子炉補機冷却ポンプ取水槽水位があり、そのデータでは地震発生前に比べ±約1m変動していることを確認しました。なお、取水槽水位は、地中に設置された取水路を経由して港湾と接続されており、水路内での振幅が増減され、津波高さとは一致しないものと推定しております。」 「福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、発電所の到達が想定される最も規模の大きい津波高さ約7〜8mに対して、海抜約15mの防潮堤を設置するとともに、非常用ディーゼル発電機がある建屋の入り口を水密扉にするなど浸水防止対策を行っています。」 しかし引き波の影響や、使用済燃料、低レベル放射性物質輸送船の津波の影響は15m以下であっても大きい。 特に使用済燃料輸送船は吃水の深さが8mだから、8mつまり柏崎刈羽原発が想定している「十分発生しうる津汲」でも座礁、擱座、沈没の危険性があるのである。 しかしこの緊急出港は少なくても10分以上かかる。今回の能登半島地震では大津波警報発表から僅か1分、場所によっては発表前に既に到達している。 しかし東電は、原発敷地の目の前で起きうる地震により発生する津波の到達には15分かかるとして、荷役作業中でなければ緊急出港は間に合い、荷役作業中ならば最初の第一波に直撃されるが吃水が深いから岸壁を越えない、または二重船殻構造(船体が二重構造)だから浸水しないなどとしている。 さらに引き波により海底を引きずられながら沖に流された場合、海底との接触で船体はズタズタにされるだろう。 米国の核弾頭搭載可能な攻撃型原子力潜水艦「サンフランシスコ」は、2005年1月8日、グアム島南方海中を潜行航行中に海山と衝突、船体の先端部分が大破している。この艦は二重船穀構造であり、船舶の中で最も強固に建造された船だが、海底との接触で船体は大破している。沈まなかったのは不幸申の幸いだった。 二重船殻構造をもつ核燃料輸送船でも引き波で海底を引きずられる場合は、同様に破壊されると考えるべきだ。 ![]()  | 
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 特に使用済燃料輸送中に数メートルの津波が襲来した場合、専用船は岸壁や防潮堤にたたきつけられて損傷し沈む危険性がある。 規制庁に対し津波と使用済燃料輸送船の関係を尋ねたところ、原発専用港内に停泊中、大津波警報が出れば直ちに出港するので問題はないなどと回答した。 柏崎XU羽原発の場合、基準津波で最も早いタイミングだと到達まで数分、輸送船の緊急離岸は津波警報発報から30分はかかる。では、東電はどのような想定をしているのか。そしてその対策はどうなっているのか。 東電の回答である。 津波警報等発令時には、使用済燃料輸送船は原則、緊急離岸することとしており、マニュアル・手順を整備しております。全輸送工程の大部分は輸送船と輸送物の干渉がないr荷役」以外の行程であり、この場合には津波警報等発令後の数分で緊急離岸が可能となります。輸送船と輸送物の干渉がある「荷役」行程において津波警報等が発令した場合でも、警報発令後の30分程度で緊急離岸できることを訓練実績により確認しております。また、柏崎刈羽原子力発電所に来襲が想定せれる津波のうち時間的に余裕のない津波に対して、緊急離岸できない場合、使用済燃料輸送船は物揚場に係留された状態となりますが、その場合であっても、以下の理由から使用済燃料輸送船が航行不能になることはないと考えております。 1.使用済燃料輸送船は岸壁に係留していること 2.津波高さと喫水高さの関係から、使用済燃料輸送船は岸壁を越えないこと 3.岸壁に接触しても防げん材を有しており、かつ、法令に基づく二重船殻構造等十分な船体強度を有すること 4.船舶に人員が常駐していること ============================== 引用終了 ============================== 今回の能登半島地震の教訓は、日本海側で発生する海底活断層の津波の特徴は、 地震発生から津波の岸着まできわめて速く、能登先端部の石川県珠洲市で約1分 、能登中部の七尾市で約2分というもの。柏崎刈羽原発の場合も、想定される佐渡沖の地震に伴う津波は、発生から数分で到達しうる。どんなに準備万端でも数分で沖合に緊急出港など出来るとは考えられない。 そして東電も認める「荷役中」すなわち使用済燃料キャスクを積み込み中だったらもはやどうしようもない。このような想定では、使用済燃料輸送船が座礁ないし漂流するに足る波高であれば十分危険な事態になる。 能登半島地震の延長線上で起こり得る津波の波高はこれらに匹敵または上回る可能性があるので、使用済燃料輸送はできないはずだ。 これについての東電の回答である。 緊急離岸ができない場合も、以下の理由から使用済燃料輸送船が航行不能になることはないと考えております。 1.使用済輸送船は岸壁に係留されていること 2.津波高さと喫水高さの関係から、使用済燃料輸送船は岸壁を越えないこと 3.岸壁に接触しても防げん材を有しており、かつ、法令に基づく二重船殻構造等十分な船体強度を有すること 4.船舶に人員が常駐していることまた、引き波による一時的な著底があったとしても、以下の理由により座標及び転覆しないことを確認しております。 2.着底後の引き波による流圧力又は寄せ波による流圧力に対して、輸送船の重量及び扁平的な断面形状により転覆の可能性がないこと ============================== 引用終了 ============================== ![]()  | 
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 すなわち、海路を含む燃料輸送ルート上の安全対策は従来の 原子力災害対策指針の中の核燃料輸送に関する項目 において その後のモニタリングなどの対応(対策ではない)については新たな取り決めがあるが、災害防止対策としては新規制基準適合性審査で指摘される事項はない。そのため新規制基準では輸送は対象外になっている。 そもそも輸送についての安全対策は国土交通省令に基づき危険時における措置を行っていくとされている。発電所港及び荷揚港における地震、津波等時の緊急離岸等の対応強化は原子力施設の対策だ。 核燃料物質や核燃料物質によって汚染された物質を原発や工場の外で運搬する場合は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)」第59条(運搬に関する確認等)では国土交通省令に基づいて実施すると定めている。 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)」 ============================== 引用終了 ============================== では、核燃料輸送や放射性廃棄物輸送について、そうした改訂や見直しがあったのか。 現実には何の変更もない。 原発の残余のリスクとして想定されていた大規模地震や津波については新規制基準で規制対象とされたが、核燃料輸送については従来と変わらず容器の耐久性のみを検査するだけで、例えば使用済燃料輸送中に沈没、座礁、容器破損等を想定したものになっていない。 しかし東電も国も「能登半島地震から新たな教訓・知見が得られた場合は、その内容を踏まえて更なる安全性向上を検討」としているだけである。 輸送に関しては、電力会社と輸送事業(原燃輸送)とのあいだで責任分界が設けられている。例えば使用済燃料輸送では、燃料体を入れた輸送容器がむつ市のRFS中間貯蔵施設の敷地に到達した段階であることがRFSから示されている。しかし、どこから何処までが東電の責任で、どこまでが原燃輸送の責任という認識について、東電側は回答を拒否した。 ただし、使用済燃料の輸送では、原燃輸送が行っている輸送についても−義的には東電の責任であることは認めた。すなわち、事故が起きた場合の対策、回収、賠償は一元的に東電の責任である。  | 
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 2024年3月27日にRFSは7月から9月の間に行うと発表した。使用済燃料69体が入った金属製の専用容器1基を搬入する。 東京新聞によると 使用済燃料輸送船が港に入っている時に地震と津波に襲われる可能性は、今の日本では新潟県で起きる可能性が高いといえる。もちろん他でも十分起こり得る。現に4月3日には 台湾沖のM7.7の地震で沖縄で津波が観測 されたことも日本や周辺ではいつでも何処でも地震と津波が発生することを示している。 ![]()  | 
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 幸い志賀原発は大事故を起こすことはなかった。しかし雪国で懸念されていた防災対策の不備が露呈した。 新潟県は原子力防災訓練の個別訓練として冬季の避難訓練を行っているが、実際の大規模避難を実施する訓練ではない。実効性を示すならば、五キロ圏内全員避難などを繰り返し実施してみるべきだが、もちろん不可能である。結局は「指揮所訓練」のような訓練をくりかえすしかない,。そのことで対応力の向上ができるとは考えられないが。 能登半島地震では、15箇所のモニタリングポストからの観測データが届かなくなり 、空白時間が長く続いた。これは、多重化していたはずのデータ転送システムが、地震による破損と停電で止まってしまったことが原因とされている。これに対して柏崎刈羽原発は、次のように対策をしているという。 モニタリングポストのデータ伝送システムは、有線回線および無線回線に加えて衛星回線を確保。これにより、地震等によって有線の断線や無線基地局の停止等で有線回線および無線回線が途絶えた際も衛星回線にて観測データを継続監視することができる。 また、データ伝送に係る対策の他にも機能喪失に備えて以下の対策を取っている。 ◎モニタリングポストの電源は、常用所内電源2系統に接続。 ◎電源喪失時においては、電源復旧までの期間、専用の無停電電源装置により電源を供給できるように対策。 ◎電源が復旧しない場合にも給電が可能なようにモニタリングポスト用発電機も準備。 ◎モニタリングポストが機能喪失した際に代替できるよう可搬型モニタリングポストを準備しており、可搬型モニタリングポストにて測定することで観測データを監視することができる。 ============================== 引用終了 ============================== 先の原子力防災協力協定に基づいて東電は何をすることになっているのか。 「社会福祉施設に入所する要配慮者の避難に関する要員62名及び福祉車両31台を支援することについて協力する旨を約束。新潟県が開催する訓練に参加し活動するなど、事業者として最大限のご協力・支援を行う。」これが協定での約束事であるという。  | 
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