[2024_08_08_07]「廃炉」とは何か…日本では法的な規定すらない 日本政府は原子力を推進する一方で後始末のことを何も考えてこなかった 海外では「廃炉」とは何かの要件を定めて完了まで事業者に義務づける「廃炉法」がある 上岡直見(環境経済研究所代表)(たんぽぽ2024年8月8日)
 
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「廃炉」とは何か…日本では法的な規定すらない 日本政府は原子力を推進する一方で後始末のことを何も考えてこなかった 海外では「廃炉」とは何かの要件を定めて完了まで事業者に義務づける「廃炉法」がある 上岡直見(環境経済研究所代表)

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◎ すでに周知のとおり、原子力規制委員会は日本原電の敦賀発電所2号機について、活断層評価の結果、委員会の発足いらい初めて「不合格」を出した。
 日本原電はさらに抵抗する姿勢を見せているが、不合格の理由が活断層なので、安全対策を強化すればどうにかなるような話ではないから、結論が覆る可能性はまずないだろう。

◎ 脱原発運動として最終的に「廃炉」を求める動きが出てくるのは当然だが、原発関係の弁護士さんに聞いてみたところ、規制委員会が事業者に対して廃炉を命ずる法的な根拠は見つからないという。
 一方で「廃炉」に関しては、事業者が廃炉計画を提出してそれを規制委員会が審査する規定がある。逆にいえば事業者が廃炉(廃止措置)を申請しないかぎり規制委員会は動けない枠組みになっている。

◎ ここでそもそも「廃炉」とは何かを考える必要がある。不合格だから運転は当然できないが、使用済み燃料プールに核燃料が溜まったままでは現状と何も変わらない。
 日本原電はまだ抵抗しているから、あわよくば再稼働を目論んでいつまでも廃止措置を申請せず、プールに核燃料を溜めたままにしておくのではないか。かりに書類上で「廃炉」になったとしてもこの状況のままではリスクは変わらない。

◎ 驚くべきことに「廃炉」とは何かという法的な規定すらない。このため政府は「福島第一原発の燃料デブリは放射性廃棄物ではない」と言い出している。
 これは山本太郎議員の質問主意書(2024年5月30日・参議院質問主意書第156号)に対する答弁で「東電がデブリを廃棄すると言わないかぎり放射性廃棄物にはあたらない」とい無責任な解釈を示している。
 現在の法律では、東電が原状のままデブリを放置しても法的責任は問えない。

◎ これは日本政府が、原子力を推進する一方で後始末のことを何も考えてこなかった結果である。
 双葉町の井戸川元町長によると、東京電力は福島第一原発の設置時に地権者に対して20年(償却期間)で廃炉にして跡地はきれいな公園にして返すと説明していたという。
 すべてが最初からでたらめだったのだ。
 海外では「廃炉」とは何かの要件を定めて完了まで事業者に義務づける「廃炉法」がある。
 現在の原子力規制庁の枠組みでは何も期待できないので、法制度の整備が必要である。
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