[2025_10_29_08]泊原発(北海道電力)の近況と原子力防災訓練 原子力事故の緊急時対応は今も全く机上の空論にとどまっている 上岡直見(環境経済研究所代表)(たんぽぽ2025年10月29日)
 
参照元
泊原発(北海道電力)の近況と原子力防災訓練 原子力事故の緊急時対応は今も全く机上の空論にとどまっている 上岡直見(環境経済研究所代表)

 04:00
◎ 北海道電力は泊原発が再稼働すれば電気料金を11%値下げするとして再稼働に向け地元合意に力を入れている。(※)
 一方、本日(10月29日)に泊地域の原子力防災訓練が行われる。これ自体は毎年定例だが、今年の訓練内容として、マイカーが使えない住民のためのバスを自衛隊員が運転する項目が新設された。

◎ 泊原発が立地する積丹半島の各町村にはバスは少数しかなく、いざという時に現地にバスが待機しているわけではないから、主として札幌から迎えに行くしかない。
 北海道庁は、北海道バス協会と緊急時の支援協定を結んでいるが、ドライバーも一般公衆と同じ1mSvを超えない範囲で協力するといった非現実的な制約があるうえ、現実にはドライバーの協力が得られない可能性があるとして、今回は迎えに行く段階からパスを自衛隊員が運転するという。

◎ 今回は訓練だから少数のバスを動かすだけだが、いざ本番の時にどれだけ自衛隊員が動員できるのか、つまり大型免許を持っている隊員がどれだけいるのか、北海道議会でも質問が出されたが、自衛隊側は「防衛上の理由」として回答を拒否しているという。
 こんなことが防衛機密とは思えないが、要するに自衛隊側は積極的に協力するつもりはないと表明しているのだろう。

◎ 泊地域に限らず、すべての地域で「自治体が対応できない場合には自衛隊」などと紙の上の計画には書いてあるのだが、実効性が全く確認されていない。
 そもそも原発事故が起きるレベルの地震・津波があれば、自衛隊でもその対応に機材・人員を向けなければならない。
 原子力事故の緊急時対応は、今も全く机上の空論にとどまっている。

(※)北海道新聞
KEY_WORD:TOMARI_: