| [2025_10_20_04]富士山噴火に備え、300年前の「宝永噴火」で埋没した家屋の発掘作業も…被災状況確かめる調査へ(読売新聞2025年10月20日) | 
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 05:00 大量の火山灰が降り注ぎ、住宅倒壊などの被害が想定される富士山噴火に備えようと、山梨県は降灰対策の新たな避難判断基準の策定に乗り出す。古い木造住宅に本物の火山灰を積んで耐久性を確かめる実験や、300年以上前の噴火で埋もれた建物を掘り返し、被災状況を確かめる調査などを通じて基準の検討を進めるといい、「住民らが適切な避難行動をとれるような基準としたい」としている。(菅原智) 富士山(山梨県富士吉田市と鳴沢村の間で、読売ヘリから) 山梨県によると、富士山が噴火した場合、山梨県内では広範囲に火山灰が降り注ぎ、富士山の周辺自治体では50センチ以上、甲府市内でも2センチ以上の降灰が想定されている。 【地図】富士山噴火に伴う降灰予測 火山灰は雪の5倍以上の重量があるとされ、雨でぬれればさらに重さを増す。しかも、ガラス質の灰は目や喉などを傷つける危険があるため、除去することも容易ではなく、降灰が長期にわたるなどした場合、住宅倒壊のリスクが高まり、住民避難が必要となる。 今年3月には、首都圏での降灰対策を考える政府の有識者検討会が、住民の避難行動などのガイドライン(指針)案をまとめた報告書を内閣府に提出。指針案では、可能な限り自宅にとどまり続けることを基本としつつ、降灰量が30センチ以上となった場合、降雨時には木造家屋が倒壊する危険があるとして原則、避難が必要とした。 ◇ 【一覧】噴火の降灰量に応じた住民行動の指針案 ただ、一言で木造家屋といっても、建設時期や構造はそれぞれ異なり、「どこまで灰の重さに耐えられるのか全く分からない」(県担当者)。そこで県は独自に各住宅の耐久力に応じて住民に適切な避難行動を促せるよう新たな基準策定を行うことにした。 山梨県によると、富士山周辺の富士吉田、富士河口湖、西桂、山中湖、鳴沢、忍野の6市町村には、木造建物が約5万棟あるが、このうち、1981年以前の「旧耐震基準」で建てられた建物は約2万棟を占め、比較的古い建物が多く残っているのが特徴だ。 そこで山梨県はまず、約50年前に建設され、取り壊し予定となっていた富士河口湖町内にある木造平屋の教員住宅を活用し、来月にも耐久力実験を実施。桜島(鹿児島県)が噴火した際に回収された火山灰を屋根に積み上げ、約2か月間にわたって住宅の破損状況などを計測する。 さらに、16日間にわたって噴火が続いた1707年の「宝永噴火」で倒壊し、埋没した家屋の発掘作業も行い、実際の被害状況も調べる。こうした調査結果を富士山科学研究所や建築の専門家などに分析してもらい、なるべく早期の基準策定を目指すという。 県火山防災対策室の矢野久室長は「富士山噴火の予測は難しいが、南海トラフ地震が引き金となる可能性もある。より実用的な避難基準の策定を急ぎたい」と話している。  | 
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