[2025_10_16_03]柏崎刈羽原発1、2号機の廃炉を検討 東京電力が表明 6号機の再稼働に向け新潟県に巨額の資金提供を提示(東京新聞2025年10月16日)
 
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柏崎刈羽原発1、2号機の廃炉を検討 東京電力が表明 6号機の再稼働に向け新潟県に巨額の資金提供を提示

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 政府や東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を巡り、東京電力の小早川智明社長は16日、県議会の意見聴取に出席し、再稼働を前提に1、2号機を廃炉する方向で検討すると表明した。地元振興のため1000億円規模で県に資金提供する考えも明らかにした。再稼働に向けた残る主な手続きは県の同意で、政府や東京電力は「取引条件」を示すことで、県が「ノー」と言えないよう外堀を埋める狙いとみられる。(荒井六貴、浜崎陽介)

 ◆小早川智明社長が新潟県議会で言及

 廃炉検討の具体的な号機に、東京電力が言及するのは初めて。県議会の連合委員会での意見聴取に、小早川社長は「原発の安全運転に万全を期すため、廃炉の検討を進めることにした」と述べた。6号機再稼働後、1年半ほど検討し最終的な結論を出すという。再稼働前提である点を「安定供給を守るため、電源全体をどうバランス良く構築するか見極める」と説明した。
 東京電力が再稼働に向けて手続きを進める6、7号機は比較的新しく、出力が高い一方、1号機は運転開始から40年、2号機は35年と老朽化。7基の総出力は一つの発電所として世界最大級で集中立地による事故時のリスクがあり、立地する新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は再稼働の条件に1〜5号機の方向性を示すよう求めていた。東京電力はそうした懸念を取り除き、再稼働につなげたい思惑がある。
 資金提供については、小早川社長は「地域経済活性化のため貢献する。成長が期待される防災産業や新事業創出、雇用創出で活用していただきたい」と強調。再稼働による火力発電の燃料削減効果に応じ10年程度、提供を続けるとした。

 ◆住民「お金と再稼働を交換条件…嫌な思いがする」

 連合委には小早川社長のほか、経済産業省資源エネルギー庁の村瀬佳史長官、内閣府、原子力規制委員会事務局の担当者らが参考人として出席。村瀬長官は国費負担で事故時の避難道路整備を進めるとし、「電力安定供給や電力料金抑制のため、原発は重要。火力発電所が東京湾に集中し、日本海側の再稼働は必要不可欠」と訴えた。
 原発30キロ圏の新潟県長岡市の馬場信子さん(84)は傍聴後、東京電力の資金提供について「お金と再稼働を交換条件のように示すのは、嫌な思いがする。安全への不安は払拭できない」と述べた。

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 ◆記者解説 意見聴取は早期の再稼働を「セールス」する場になった

 柏崎刈羽原発は7号機がテロ対策の遅れで法的にしばらく再稼働できないことから、東京電力は6号機を優先させたい考えだ。残る手続きは県の同意で、花角英世知事はこれまで、是非を判...(後略)
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