| [2025_10_14_05]南海トラフ確率見直し 備えの重要性は変わらぬ(毎日新聞2025年10月14日) | 
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 04:00 いつか起きることに変わりはない。予測の数値に関わらず、必要な備えをしなければならない。 政府の地震調査委員会が東海沖から九州沖を震源域とする南海トラフ地震の発生確率を見直した。 主な海溝型地震の30年以内の発生確率 30年以内にマグニチュード(M)8〜9クラスの巨大地震が起きる確率を「80%程度」から「60〜90%程度以上」に変更した。別の算出方法による「20〜50%」も併記した。 南海トラフについては、地震による地盤の隆起も考慮に入れる手法で計算している。過去の記録の数値が不確かだとして、12年ぶりに計算方法を改良し、「60〜90%程度以上」と幅を持たせた。 ただ、この方法は確率が高く出る傾向があり、発生間隔から算出する通常の手法に基づく「20〜50%」も示した。 調査委は二つの方法について「科学的に優劣はつけられない」と説明する。一方、防災対策を着実に講じる観点からは、確率の高い方を強調すべきだと指摘した。 しかし、2通りの数値が公表され、国民にとって分かりにくい形となった。防災対策を担う自治体からも戸惑いの声が上がる。 地震発生のメカニズムは完全に解明されているわけではない。数値に幅が生じたことは、今の科学の限界を示しているといえる。 そもそも、従来よりも低い確率が示されたからといって、警戒を緩めるべきではない。 調査委は全国の地震の発生確率を評価しており、26%以上を最も警戒が必要なレベルと位置づけている。 南海トラフ地震は90〜150年程度の間隔で発生してきた。前回から約80年たっており、いつ起きてもおかしくない。 国の被害想定では、死者が最大29万8000人、経済被害は最大292兆円に上る。耐震化や避難体制の整備などを加速すべきだ。 1995年の阪神大震災、昨年の能登半島地震のように住民の想定を上回る甚大な被害をもたらすことも少なくない。 国と専門家は、予測の不確実性を含めて説明を尽くす必要がある。自治体は対策を点検し、住民も日ごろから備えを進めることが求められる。数値に振り回されないことが肝要だ。  | 
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