[2025_05_02_05]【速報】アスベスト健康被害めぐる訴訟 国の『逆転敗訴』確定 争点は“除斥期間” 大阪高裁(読売テレビ2025年5月2日)
 
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【速報】アスベスト健康被害めぐる訴訟 国の『逆転敗訴』確定 争点は“除斥期間” 大阪高裁

 13:54
 兵庫県内のアスベストを扱う工場で働き、じん肺を発症した男性が国に損害賠償を求めた裁判の控訴審で、大阪高裁が国に賠償を命じた逆転判決について、国が上告しなかったことが分かりました。大阪高裁が2日、明らかにしました。上告期限は5月1日でした。
 20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が争点で、一審の大阪地裁はこれを過ぎているとして請求を退けていましたが、原告が逆転勝訴した高裁判決が確定しました。
 男性は1963年から1971年までの間、工場で石綿セメント管の製造作業に従事し、2000年に兵庫労働局がアスベストによるじん肺被害を認定。男性は2020年5月、国に賠償を求め訴えを起こしていましたが、翌月に亡くなり、遺族が訴訟を引き継いでいました。
 アスベストによる健康被害をめぐっては、2014年、最高裁が国の賠償責任を認める判決を出し、国は一定の条件のもと労働者らと和解に応じてきました。
 当初、男性もこの和解条件を満たしていましたが、国が「除斥期間」の起算点を「じん肺被害が認定された時」ではなく「じん肺を発症した時」と変更。これをもとに、一審の大阪地裁は2023年、「提訴時には除斥期間を半年ほど過ぎている」と判断して原告側の訴えを退け、原告側が控訴していました。
 大阪高裁は4月17日の控訴審の判決で、「じん肺が特異な進行性の疾患であるという特徴を踏まえると、その損害が発生したというべき『被害が認定された時点』を除斥期間の起算点とするのが相当であり、提訴時には除斥期間を経過していない」と判断して一審判決を取り消し、原告が請求した全額(約600万円)の賠償を国に命じました。
 男性の遺族は「救済を受けるために、国が定めた絞られた条件にしたがって和解を求めたのを否定してきた国の対応はひどいと思っていました。提訴して約5年もかかり、この間の不安は言葉にできません」とコメントしていました。
 原告側の弁護団は、高裁判決の確定を受け、「国の上告断念は当然のことであり、早期に正常な手続きに戻すべきだ。この間、国の対応変更によって請求を断念したケースがないか、国自身が早急に調査し救済を図らなければならない」とコメントしました。
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