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[2025_04_24_04]<社説>原発投票否決/多様な民意反映できるか(神戸新聞2025年4月24日) | ![]() |
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参照元
06:00 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働の是非を問う県民投票条例案について、新潟県議会が反対多数で否決した。議長を除く県議52人のうち自民党と公明党など計36人が反対した。同原発の再稼働を巡る県民投票条例案の否決は2013年に続いて2度目だ。 条例の制定は市民団体が署名を集め、花角(はなずみ)英世知事に直接請求した。法定数の約3万6000人分を上回る約14万3000人分で、有権者の8%に当たる。ところが自民県議は「再稼働問題は高度な専門知識を有する」として、「電力供給の安定性など国家規模の課題と直結し、県民投票にふさわしくない」と述べた。 地域にとって重要な問題と捉えるからこそ、自治の主権者として県民自ら判断したいと求めたのではないのか。意思表明の機会を認めない理由としては疑問が残る。 だが、地域の将来を左右する住民投票は各地で実施されてきた。条例に基づく初の住民投票は1996年に新潟県巻町(現新潟市)であり、東北電力の原発建設に60%超が反対して計画は中止になった。米軍普天間飛行場(沖縄県)の名護市辺野古移設を巡る県民投票(2019年)や「大阪都構想」の是非を問う2度の住民投票も実施されている。 住民投票は、議会と首長による間接民主主義を補完する役割を持つとされる。花角知事の見解にはその意義を尊重する姿勢が見えず、制度そのものの否定につながりかねない。 条例が請求された背景には、再稼働への地元同意が焦点となる中、知事が態度を明らかにしてこなかった経緯がある。条例案否決を受け、知事は「市町村長との意見交換や公聴会、意識調査を検討する」とした。いつ、どのような手法で是非を判断するのか、詳しく説明すべきだ。 否決した県議会の責任も重い。東電福島第1原発の例が示すように、事故などがあれば、地元にとどまらず県外にも多大な影響を及ぼす。多様な民意を尊重した原発の論議を丁寧に進めなければならない。 柏崎刈羽原発は6、7号機が原子力規制委員会の再稼働審査に合格したものの、テロ対策施設の完成遅れなどの課題に直面している。万全の準備が整わず、再稼働ができても綱渡りの交互運転を強いられる |
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KEY_WORD:KASHIWA_:FUKU1_: | ![]() |
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