[2025_03_28_01]原発事故の屋内退避 期間や解除要件などまとめる 原子力規制委(NHK2025年3月28日)
 
参照元
原発事故の屋内退避 期間や解除要件などまとめる 原子力規制委

 21:01
 原子力発電所の事故の際、被ばくを抑えるために自宅などにとどまる「屋内退避」のあり方について、原子力規制委員会の検討チームは「屋内退避」を続ける期間や解除の要件などについて考えをまとめました。
 ただ、地震や津波などの自然災害が同時に起きる「複合災害」への対応については、国全体で連携を強化する必要があるなどとして、課題として残されました。
 国の「原子力災害対策指針」では原発で重大な事故が起きた際、原則、半径5キロ圏内の住民は即時に避難し、5キロから30キロ圏内の住民は自宅などに「屋内退避」するとされています。
 しかし、去年1月の能登半島地震では、石川県にある志賀原発周辺で建物の倒壊や集落の孤立が相次いだほか、原発周辺の自治体から「屋内退避」の課題が寄せられ、原子力規制委員会は、専門家によるチームを設け、検討してきました。
 28日の会合で原子力規制庁は「屋内退避」を続ける期間や解除の要件などを盛り込んだ最終報告書の案を示しました。
 案では、放射性物質が大規模に放出された場合でも、その後の措置で、損傷した炉心や使用済み燃料プールの冷却が保たれるなど、原子炉施設の状態が安定し、再度の放出や滞留がなければ、解除できるとしました。
 また、「屋内退避」を続ける期間は、国の防災基本計画などを参考に「3日間は継続できる」とし、解除については、「3日後以降は日々判断するのが望ましい」などとしています。
 「屋内退避」が継続している期間には、生活に必要な物資の調達や緊急性の高い医療や介護、道路やライフラインの復旧などに伴う一時的な外出は可能だとする一方で、放射性物質を緊急に放出するなどの情報があれば、国や地方自治体が一時的な外出も控えるよう注意喚起し、「屋内退避」を徹底させることが重要だとしています。
 28日まとまった最終報告書は、原子力規制委員会に報告され、「原子力災害対策指針」などに反映するか、議論される見通しです。
 一方で、原発事故と地震や津波などの自然災害が同時に起きる「複合災害」への対応について、複数の自治体から「避難する建物が損壊した場合、どう屋内退避をするのか」など意見が相次ぎました。
 これについて報告書では、原子力規制委員会が関係機関などと連携して取り組みを進める必要があると記載され、国全体での連携強化が課題として残されました。
 検討チームのメンバーで、原子力規制委員会の伴信彦委員は「複合災害への対応は国として考えなければならない。まずは報告書を共有し、意識を高めていければよいと思う」と話していました。
 今回の議論をめぐっては新潟県の花角知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非の判断で注視するとしていて、今後の動きが注目されます。

 専門家「住民の声を定期的に聞いて議論を」

 原子力規制委員会の検討チームで行われた「屋内退避」の議論について、原子力防災に詳しい福井大学附属国際原子力工学研究所の安田仲宏教授は「福島第一原発の事故のあと14年がたったが、原発事故が起きた時の対応はわかりにくく、住民の疑問に答えられるほど中身が詰まっていなかったので浸透してこなかったと思う。今回、期間など屋内退避のイメージがある程度は明らかになった」と述べ、一定の評価をしました。
 そのうえで「自治体から見ると、これまで国から対策を丸投げされたような印象が多々あったと思う。特別なタイミングでこうした議論をするのではなく住民の声を定期的に聞いて、国や自治体で共有し議論するべきだ」と話していました。
KEY_WORD:複合災害-屋内退避-運用見直し_:FUKU1_:KASHIWA_:NOTOHANTO-2024_:SIKA_: