[2025_03_24_06]誰が、なぜ柏崎刈羽原発を動かそうとしているのか?再稼働への「敷かれたレール」 新潟日報アーカイブ[原発は必要か]第2部(新潟日報2025年3月24日)
 
参照元
誰が、なぜ柏崎刈羽原発を動かそうとしているのか?再稼働への「敷かれたレール」 新潟日報アーカイブ[原発は必要か]第2部

 13:25
 2011年の東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の発生から2025年で14年。
 新潟日報は事故後、原発問題に関する多くの企画を紙面に掲載してきました。
 事故の当事者である東電はいま、新潟県内に保有する柏崎刈羽原発の再稼働を目指しています。
 原発問題を考える際の参考になれば、との思いから過去に紙面に掲載した企画の一部をデジタルプラスで紹介します。
 2015年から16年にかけて、地域経済への影響や原発事故後の福島県の現実を検証した「原発は必要か」の一部を掲載します。
 再生可能エネルギー導入が進む世界の流れに逆行して原発回帰へと傾く日本政府や経済界、電力会社の思惑などを探ったシリーズ企画。
 第2部「敷かれたレール」をお届けします。
 東京電力福島第一原発事故の影響がまだ続いている中で、事故の当事者である東電が所有する柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)を再び動かすためのレールが着々と敷かれつつある。
 6、7号機が原子力規制委員会の審査に「合格」すれば、再稼働論議が加速するのは間違いない。
 誰が、なぜ原発を動かそうとしているのか−。
 連載企画「原発は必要か」第2部では、柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる動きと思惑を探った。(文中敬称略、全10回)

<1>電力逆流、東京から受電
 柏崎市の海岸線に明るく輝く一角がある。東京電力柏崎刈羽原発だ。
 全7基が止まり、発電していない。施設を照らす電気はどこから来ているのか−。

 <2>財界視察、にじむ「消費地」の思惑
 2016年1月、財界の大物が東京電力柏崎刈羽原発を訪れる。経団連会長の榊原定征(72)だ。2015年、東電が要請したという。

 <3>請願提出、動く経済界「地域開発を推進するという原子力発電所誘致の理念を再度、皆さま方と確認し合う時期に来ている」。柏崎市議会で柏崎商工会議所会頭、西川正男(59)は訴えた。

 <4>国の圧力、「柏崎刈羽を動かす」
 東京電力柏崎刈羽原発の地元、新潟県柏崎市長の会田洋(68)は2015年前半、ある政府高官から思いも掛けない言葉を耳打ちされた。「柏崎刈羽原発はことし中に動かす」。
<深掘り>交付金、停止続くほど減額
 2015年末に閣議決定された2016年度予算案には、政府として原発再稼働を推進する姿勢が色濃く反映された。原発立地自治体への交付金制度が見直された。

 <5>交付金制度、振興は二の次で「汗」を優遇
 原発の立地自治体に配る交付金は無駄に使われているのではないか−。2015年11月、東京・霞が関の政府庁舎内にある会議室には、そんな疑念が渦巻いていた。

 <6>原子力広報、エネ庁は前面に出ず
 「リスクのないエネルギーなどない」。2015年11月、新潟県柏崎市文化会館アルフォーレの会議室。外国人女性が市民に向けて訴えた。

 <7>限定のCM、住民の「理解」へ積極姿勢
 テレビ画面上で青い制服姿の人々が防災資機材を使ってきびきびと動く。そこにナレーションが重なる。「訓練を繰り返すことで1人ひとりの判断力や行動力を高めています」。

 <8>再稼働の利、東電と国に
 年始あいさつの来訪者で混雑した2016年1月5日の新潟県庁知事室前。東京電力社長の広瀬直己が知事の泉田裕彦との会談を終え、記者団の取材に応じた。
<深掘り>賠償・除染費用、国の回収はわずか福島第一原発事故の賠償や除染などの費用として、国は東電へ総額5兆6908億円を交付している。このうち2014年度までに回収できたのは、約6183億円にとどまっている。

 <9>温度差、経済界に冷めた目も
 新潟県柏崎市の夏を彩る「海の大花火大会」を夜に控えた2015年7月26日の日中。その会場から約7キロ離れた東京電力柏崎刈羽原発を県内16の商工会議所会頭らが視察していた。

 <10>地元の意地、実利を超えた思い入れも
 「ことしは柏崎の経済の正念場となる。その一つが原発の問題だ」。2016年1月、賀詞交換会の新年のあいさつで、柏崎商工会議所の会頭・西川正男(59)は力を込めた。<深掘り>原発誘致決議当時の柏崎刈羽地域 「陸の孤島」。柏崎刈羽原発の誘致を進めた際の柏崎の状況としてよく挙げられる言葉だ。海に面する柏崎市は残りの三方が山に囲まれていることから、こう呼ばれる。
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