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[2025_03_21_06]〈社説〉原発の廃炉 放射性のごみ問題直視を(信濃毎日新聞2025年3月21日) | ![]() |
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参照元
09:30 廃炉の進む中部電力浜岡原発2号機(静岡県)で、原子炉の解体工事が始まった。 商業用原発では国内初となる。放射線量の高い部分に着手する。細心の注意を払いながら着実に進めてほしい。 計5基の原子炉を有する浜岡原発は、1976、78年に運転を始めた1、2号機が2009年に運転を終え、廃炉作業に入った。2号機を先行して進めており、完了は42年度を予定している。 廃炉と聞くと、事故を起こした東京電力福島第1原発の難作業を想起する人も多いだろう。溶け落ちた核燃料の取り出しなどに苦労し、先行きは見通せていない。 浜岡の1、2号機は、福島第1とは違って無事に運転を終えた原発だ。それでも後始末に長い期間と膨大な費用がかかる。原発という施設がそもそも抱えている困難を、再認識しておきたい。 原発の廃炉は一般的に、完了まで30年程度が見込まれ、費用は1基360億〜850億円程度。その一部は、電力の利用者が広く負担することになる。 現在、廃炉が決まった商業用原発は、福島第1の6基を除いて全国に計18基。福島事故を踏まえ規制基準が厳格化されたため、安全対策に巨費を投じても採算が見込めない古い原発を中心に、次々に廃炉に追い込まれた。 今回の浜岡2号機の原子炉解体開始は、直面する「廃炉の時代」の幕開けとも言える。 新たな局面に入ってゆく上で深刻な課題の一つが、廃炉で生じる放射性廃棄物の処理だ。 廃棄物は放射線レベルで3区分される。最も高い「L1」は原子炉内の構造物や制御棒など。金属容器に入れ、地下70メートルより深くに埋めて処分する。その後300〜400年間は監視が必要だ。 線量が比較的低い配管や弁などを含め、18基から出る放射性廃棄物は16万トン超。多くは、埋設場所が決まっていない。確保できないと敷地内で保管するほかなく、問題の先送りが続いている。 廃炉で出る廃棄物とは別に、使用済み核燃料を再処理する過程で生じる高レベル放射性廃棄物も忘れてはならない。「核のごみ」と呼ばれ、極めて高い放射線を出すことから、地下300メートルより深くに埋めて人間の生活環境から数万年以上遠ざける計画だ。 政府は原発の最大限活用を掲げ、先月決定のエネルギー基本計画では建て替えを進める方針も明記した。行き場のない廃棄物の問題について解答を聞きたい。 |
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KEY_WORD:廃炉_:FUKU1_:HAMAOKA_: | ![]() |
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