[2025_01_29_02]2025年、原発事故前からのオール電化料金の終焉始まる 新プランより割高に、太陽光普及で昼に安価なプランも(日経クロステック2025年1月29日)
 
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2025年、原発事故前からのオール電化料金の終焉始まる 新プランより割高に、太陽光普及で昼に安価なプランも

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 オール電化料金が変化の時代を迎えている。東京電力・福島第1原子力発電所事故前からのオール電化プランは長年、優位性を保ってきたが、割引の廃止などで2025年度から新プランより割高にする大手電力が現れたのだ。これは伝統的なオール電化料金の実質的な終焉を意味する。背景には需給バランスの変化があり、その大きな要因である太陽光発電の拡大は「昼間が安い」プランも生み出した。電源移行が進む中でのオール電化料金の未来を読み解く。
 住宅で使うエネルギーの全てを電力でまかなう「オール電化」は、全国の新築戸建住宅の4割強が採用しており、九州では新築の8割弱に達している。普及を支えた原動力は、極端に安かった深夜時間帯の電力量料金単価(深夜電力)の経済性にある。
 原発事故前、例えば東電のオール電化料金プランである「電化上手」の深夜電力の単価は10円/kWh未満だった。この価格は従量電灯の半額程度と非常に安価で、ガスや灯油といった他のエネルギー源を押しのけてオール電化を採用させるだけの大きな魅力があった。
 深夜電力を極端に安価にできた理由は、日本全国で54基稼働し、原発事故前には電源構成の4分の1を占めていた原子力にある。日本では原発の出力を調整しないため、定格出力で大量に稼働していた原子力からの電力が、需要の少ない深夜に余るのだ。その電力を安く提供することで、大手電力は深夜の需要を創出したのである。
 しかし、原発事故で状況は一変した。日本中の原発が停止し、多くの地域で再稼働が進まなかった。1基の再稼働もできていない大手電力が今も複数存在し、事故から10年以上が経過した2023年になっても、原子力が電源構成に占める割合は1割にも達していない。
 さらに太陽光発電が普及し、そこから生まれる電力の自家消費が進んだことで、昼間の電力需要が減少した。オール電化の拡大によって深夜需要の底上げも起こり、深夜と昼間の電力需要の差が少なくなりつつある。図1は九州エリアでの需要の変化を示しているが、こうした傾向は全国に共通したものだろう。
 つまり、「電力需要が少ない深夜」に「原子力の余った電力を安価に供給する」という、深夜電力の前提が崩れているのだ。(後略)
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