![]() |
![]() |
[2024_12_26_03]福島第一原発 除染土「再生利用」本格化へガイドライン案(NHK2024年12月26日) | ![]() |
![]() |
参照元
19:12 東京電力 福島第一原子力発電所の事故の除染で出た土のうち放射性物質の濃度が低い土の「再生利用」を環境省は来年度以降本格化するため、使用できる土や場所などについてガイドラインの案を示しました。 東京電力 福島第一原発の事故後の除染で出た土などは、現在、福島県大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設に保管され、2045年までに福島県外で最終処分をすることが法律で定められています。 その量はおよそ1400万立方メートル、東京ドーム11杯分に上り、国は最終処分の量を減らすため、放射性物質の濃度が一定の水準を下回った土については、全国の公共工事で道路の盛り土などで再生利用する方針で、福島県内で安全性を確認するための実証事業を行ってきました。 26日に開かれた環境省の専門家会議では、再生利用の本格的な実施に向け、使用できる土や場所などについてのガイドラインの案が示されました。 それによりますと、再生利用に使用できる土は工事の作業者や周辺の住民の追加被ばく線量が、国際的な基準で、一般の人の被ばく量の1年間の限度とされる年間1ミリシーベルトを超えないようにするため、放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土を使うとしています。 また、液状化や水害や地震のリスクが高い場所での利用は十分な検討が必要とし ▽除染で出た土が流出しないよう表面を別の土砂で覆うなどの措置をとる一方 ▽土壌中の放射性セシウムは固定化して移動しにくいとして地下水汚染の防止対策は不要だとしています。 このほか ▽施工後は、放射線量を年に1回以上、定期的に測定すること ▽除染で出た土の利用場所であることを表示するとしています。 環境省は省令を改正するなどの必要な手続きを進め、再生利用を来年度以降、本格化させたいとしています。 今も続く除染作業 これまでの経緯は 東京電力 福島第一原子力発電所の事故による放射性物質で汚染された土などを取り除く除染作業は、福島県内の帰還困難区域などで今も作業が続いています。 国は、地元の要望を受けて除染で出た土などについて、2014年に、保管開始から30年となる2045年3月までに福島県外で最終処分することを定めた法律を成立させました。 しかし、最終処分の場所や方法など具体的な見通しは示されていません。 環境省はこれまでに除染で出た土などのうちの4分の3は、放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下で比較的低いとして、可能なかぎり再生利用を行いたいとしています。 2017年からは再生利用に向けた実証事業として福島県の飯舘村や南相馬市などで農地の造成や盛り土への利用などが行わわれていて、IAEA=国際原子力機関はことし9月、こうした事業について現地の視察などを踏まえ、「IAEAの安全基準に合致している」とする報告書を公表しました。 福島県外でも実証事業を進めようと、環境省は2022年、東京 新宿の「新宿御苑」や埼玉県所沢市にある「環境調査研修所」、茨城県つくば市の「国立環境研究所」の環境省が管理する3つの施設で花壇の造成などに使う計画を公表しましたが、住民から安全性への不安の声が上がり、開始時期のめどはいまだ立っていません。 また、環境省が去年行ったアンケート調査では、福島県外では7割以上の人が「最終処分の内容を知らない」と答えるなど、社会的な関心が低いことも課題となっています。 こうした中、国は再生利用と県外での最終処分を各省庁が一丸となって進めるとして、12月、すべての閣僚をメンバーとする新たな会議を発足させ、来年夏ごろをめどに今後の工程表をまとめるとしています。 福島 大熊町の住民「元に戻してほしいという思い」 福島県大熊町の根本友子さん(77)は、生まれ育った自宅や農地があった土地を中間貯蔵施設の用地として提供し、いわき市で避難生活を続けています。 77歳になった根本さんは、年齢を考えると、除染で出た土の最終処分が終わる予定の2045年に、地元に帰ることは難しいと考えていますが、ふるさとに帰りたいという気持ちは今も強く「今、土地を返すよといわれらたら、迷いなく帰るくらい、前のとおりに、元に戻してほしいという思いです」と話しています。 そして、法律で定められた、除染で出た土の県外での最終処分や、最終処分の量を減らすための除染で出た土の再生利用について「県外に受け入れてもらうことは、私たちが中間貯蔵施設を受け入れた以上に難しい問題だと思う。だからこそ除染で出た土を持ち出すなら、しっかり理解してもらえるよう努力をしないと、私たちに約束したことは実現できないと思う。そうした取り組みを頑張ってもらうしかない」と話していました。 専門家「解決策がないか議論を」 福島の復興に詳しい東京大学大学院の開沼博 准教授は、ガイドラインの案が示されたことについて「今後の具体的な政策や制度の決定のプロセスが進むことが期待される一方、再生利用について賛成する人ばかりではないという問題は、これからも解決が難しい状況が続く。政府には、しっかりと周知を進めることが求められる」と指摘していました。 そのうえで「除染で復興が進んだ一方で、中間貯蔵施設に除去土壌などが置かれ、2000人が生活していた場所を追われたままになっている。地元の住民や自治体からはこの問題を解決してほしいと繰り返し要望が出ているが、これ自体が知られていないことが解決を難しくしている大きな要因だ。震災のあと、『被災地を支えよう』とか『絆』ということばが聞かれたが、私たち自身も知ろうとする努力を怠らないことが重要だ。すぐに誰もが『自分が引き受けよう』となる話ではないが、まずは同じ立場になって考えてみる、解決策がないか議論を深めていくことが必要ではないか」と話していました。 |
![]() |
![]() |
KEY_WORD:除染土_最終処分_:FUKU1_: | ![]() |
![]() |