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[1998_07_25_02]F16全機の飛行中止 米軍三沢基地事故 米軍、30日以内に原因究明 市長ら厳重抗議 「怖い」空港大混乱 7便欠航 国に中止要請 「市民への恐怖計り知れない」 市長、議長が怒りの会見 国に飛行中止要請 知事 県に原因究明求める 共産県委員会(東奥日報1998年7月25日) | ![]() |
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24日午前、米軍三沢基地第35戦闘航空団所属のF16戦闘機が三沢飛行場滑走路東端で炎上した事故は「基地の街・三沢」に大きな衝撃を与えた。事故を知った市民らは空港デッキやフェンス越しに無残に焼け焦げた期待を見つめていた。同基地のジョン・T・クラインズ副司令官は同日夜会見、F16全機の安全確認が終わるまで訓練飛行を中止することを表明。鈴木重令三沢市長と羽立隆市議会議長は、同基地を訪れ厳重抗議したが、市民の間からは不安を訴える声が相次いでいる。 クラインズ副司令官は同日午後7時半から基地内で会見し@F16戦闘機1機が通常訓練のため離陸を試みたが離陸できず滑走路東端にオーバーランして事故を起こした。A滑走路は現場検証などのため閉鎖し安全を再確認した上で閉鎖を解除した。BF16全機について機体を点検、パイロットの飛行手順などを調べ安全が確認されるまで飛行を中止するーと述べた。 事故機は事故後も現場に無残な姿をさらしたままにされており、同日夕方まで米軍関係者が機体の周囲などで現場検証を行った。会見の中で同副司令官は、事故原因については太平洋空軍の各航空団のパイロットで事故調査チームをつくり30日以内に原因を究明、同チームの資料収集が済むまで事故機は現場保存することを明らかにした。 米軍側によると事故機はメルビン・B・シンプソン中尉が操縦、副司令官は、シンプソン中尉は機体の炎上によりやけどを負い、基地内病院から八戸市民病院に転送、治療を受けており、深刻な状態を脱して症状は安定していると語った。同中尉は飛行時間約300時間で、このうちF16は約100時間の若手パイロット。また、副司令官は「自衛隊員3人が自らの危険を顧みずに炎上する現場からパイロットを救出してくれた。勇敢な行動に感謝する」と空自に謝意を表した。 「市民への恐怖計り知れない」 市長、議長が怒りの会見 三沢市には、24日午前9時20分、三沢防衛施設事務所を通じて米軍から事故の正式な報告が入った。これを受け、市議会と三沢基地進入表面下町内会連合会(小比類巻命介会長)に連絡、同9時半すぎから開いた基地安全対策連絡調整会議(議長・富田善作助役)の意向を受け、市議会正副議長、基地対策特別委員会正副委員長を交えて対応を協議した結果、市長、議長連名の抗議文を米軍三沢基地に提出することを決めた。 鈴木市長、羽立議長が同日午後、クラインズ副司令官に対し、厳重に抗議するとともに「事故の原因が解明されるまで飛行を中止しF16全機の整備点検を行い、再発防止について万全を期すよう」要請した。 午後2時から鈴木市長、羽立議長が記者会見し、鈴木市長は「絶えず航空機事故の危機にさらされて生活している市民に与える恐怖感は計り知れない」と遺憾の表情。また市長は米軍憲兵隊からの市消防本部に対し「住民の避難勧告を出してもらう可能性がある」との連絡があった事実も明らかにした。20分後に「勧告は必要ない」との連絡があったという。 一方、三沢基地進入表面下町内会連合会は同日、三沢防衛施設事務所を通じて口頭で米軍司令部に抗議した。 「怖い」空港大混乱 7便欠航 三沢空港は事後直後から6時間余にわたって閉鎖され、夕方までダイヤが混乱した。日本エアシステムによると、羽田行きなど7便が欠航、一便に遅れが出て、計千人の足が乱れた。 事故現場の滑走路周辺は米軍の軍用車が行き交い、物々しい雰囲気、搭乗を待つ乗客らは、空港デッキなどから、炎上して黒焦げになったF16機を遠巻きに見守った。ターミナルビルの女性従業員は「普段、(戦闘機は)滑走路からはずれたあんな所にいないのに・・・。本当に怖い」と顔をこわばらせた。 空港ビルの手続きカウンターは事故直後、キャンセルや便の変更を求める乗客らが殺到し、欠航に対する苦情が相次いだ。 埼玉から出張で来ていた自営業の男性(48)は「会社は大騒ぎです。何としても帰らないと明朝からの仕事に間に合わない。米軍にはしっかりしてもらわないと」と、不満をぶつけた。 夏休みで帰省する小学2年の孫娘を迎えにきた上北町の男性(65)「空港に着いて事故が分かった。横浜市から初めて一人で来るので、心配で心配で・・・」と不安げに語った。 滑走路の閉鎖が解かれ、運行が再開されたのは、午後3時すぎ。待機していた東京行きの便は、ようやく滑走路へ。事故機を避けるように、滑走路東側から西の空へと飛び立つと、デッキの見送り客から安どのため息が漏れた。 国に飛行中止要請 知事 米軍三沢基地でF16戦闘機がオーバーランして炎上する事故があった24日、三沢基地進入表面下町内会連合会の小比類巻命介会長らが県庁を訪れ、木村守男知事に対して安全を確認するまで米軍機の飛行を停止するよう求めた。 これに対し、木村知事は「基地内でも、市内の安全を考えると、あってはいけない事故。県民の不信感が強くなることを懸念する」と述べ、同日中に県から外務省、防衛施設庁、米軍三沢基地第35戦闘航空団に対し、事故の再発防止や、原因が究明されるまでF16機の飛行を中止するよう要請した。 小比類巻会長らの要請は事故前から予定していたもので、事故対策以外にもF4EJ改の配備による騒音区域の拡大などを求めた。 県に原因究明求める 共産県委員会 三沢基地で米軍のF16戦闘機がオーバーランして炎上した事故を受けて、共産党県委員会の三上和子県議らが24日、県に対し@事故の原因究明と原因の公表AF16機の撤去ーなどを求める申し入れ書を提出した。 |
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KEY_WORD:ROK_KIROKU_:米軍三沢基地_:F16_:墜落落下事故_:三沢基地進入表面下町内連合会(小比類巻命介会長)_:基地安全対策連絡調整会議(議長・富田善作三沢市助役)_:鈴木重令三沢市長_:木村守男青森県知事_:三上和子青森県議(共産党県委員会)_: | ![]() |
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