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[2024_08_15_01]南海トラフ地震臨時情報 呼びかけ終了 備え継続を(NHK2024年8月15日) | ![]() |
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参照元
19:36 今月8日に宮崎県で震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震を受けて、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震への注意を呼びかける臨時情報が発表されてから15日で1週間となり、呼びかけの期間は午後5時に終わりました。 国は南海トラフ巨大地震が起きる確率は今後30年以内に70パーセントから80パーセントとされ、いつ大規模地震が起きてもおかしくないことを意識し、ふだんから地震への備えを進めるよう呼びかけています。 気象庁によりますと、今月8日午後4時半すぎ、日向灘の深さ31キロを震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎市の宮崎港で50センチの津波を観測するなど、九州から四国の各地に津波が到達しました。 また、この地震で、宮崎県日南市で震度6弱の揺れを観測したほか、震度5強を宮崎県と鹿児島県で観測しました。 この地震を受けて気象庁は南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。 国は、巨大地震に備えて防災対策の推進地域に指定されている29の都府県の707市町村に対して地震への備えを改めて確認してほしいと呼びかけていましたが、地震の発生から1週間となった15日午後5時に呼びかけの期間が終わりました。 国は、過去の世界の事例では、時間の経過とともに大規模地震が発生する可能性が低下していく傾向があるものの、最初の地震から1週間以上たったあとに発生したこともあるとしています。 また、マグニチュード8から9クラスの南海トラフ巨大地震が今後30年以内に70パーセントから80パーセント確率で起きるとされ、いつ大規模地震が起きてもおかしくないことを意識して、ふだんから地震への備えを進めるよう呼びかけています。 南海トラフ地震の想定震源域 気象庁“特段の変化なし” 気象庁によりますと、今月8日の地震以降、震源付近ではふだんより地震が多くなっていて当分の間、こうした状況が続くと考えられるとしています。 また「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震活動が東海から紀伊半島で発生し、付近のひずみ計でも変化が観測されているということです。 日向灘と九州南東沖では「浅部超低周波地震」と呼ばれる小規模な地震を観測しているということです。 さらに、宮崎県南部を中心に、地殻変動を観測しているほか、熊野灘に設置された観測機器で今月5日ごろから地殻変動が原因とみられる水圧の変化が観測されているということです。 これらは、いずれも、ふだんから繰り返しみられている現象で、南海トラフ地震の想定震源域では、地殻変動や地震活動にこれまでのところ特段の変化は観測されていないとしています。 気象庁は引き続き、南海トラフ沿いの地震活動や地殻の変化などを注意深く監視していくとしています。 松村防災担当相“日ごろの備え極めて重要” 松村防災担当大臣が記者団の取材に応じ「政府として特別な注意を呼びかけてきたが、地震活動や地殻変動に特段の変化が観測されなかったことから、先ほど午後5時をもって終了した」と述べました。 その上で、「通常の生活を行っていただいて差し支えないと考えているが、南海トラフ地震は正確な予測が困難で、日ごろからの備えが極めて重要だ」と述べ、この1週間で再確認した家具などの固定や▽避難場所や避難経路の確認、家庭での備蓄の確認などふだんの地震への備えを続けるよう呼びかけました。 岸田首相 呼びかけ終了後も丁寧に情報発信を 岸田総理大臣は関係省庁に対し、呼びかけが終了するまでの間、緊張感をもって対応にあたるよう指示しました。 また、呼びかけが終了することで、政府による対応や国民が行うべき措置がどう変わるかに加え、普段から行う必要がある防災対策などについて丁寧に情報発信することや、今回の臨時情報の発表に伴う一連の対応や社会の反応などを振り返り、不断の改善を図っていくことも求めました。 社会はどう反応した? 初めて発表された南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)。 国が日頃の地震の備えを再確認した上で、社会活動の継続を呼びかける中、各地で対策がとられた一方、影響が出たケースもありました。 “社会活動継続” 呼びかけられるも… 今月8日の記者会見で、南海トラフ地震に関する評価検討会の平田直会長は「夏休みやお盆の帰省などは控えた方がよいのか」と問われ、「この情報が出たら改めて日頃からの地震への備えを確認することが重要だ。例えば、津波に対しては自分のいる場所から警報が出たときにどこにどういう経路で逃げるか再確認する必要がある。それがきちんとできていれば夏休みで海水浴をしていただいても、個人的な考えですが特に問題はないと思う」と述べ、対策を取った上で控える必要は無いという認識を示しました。 自宅の備蓄を確認したり、不特定多数の人が利用する道の駅で、避難誘導の方法を点検したりするなど各地で対策がとられましたが臨時情報の発表を受けて、中止されたイベントがあったほか旅行を取りやめた人が出て、キャンセルへの対応に追われたケースもありました。 海水浴場の閉鎖相次ぐ 本来、夏休みで多くの人でにぎわうはずだった海水浴場。 宮崎県や和歌山県、静岡県、三重県などの海水浴場の中には遊泳を禁止する措置をとった場所もあります。 和歌山県白浜町は町内4か所の海水浴場を地震からおおむね1週間、閉鎖しました。 このうち白良浜海水浴場では10日に花火大会も予定されていましたが、地元の観光協会が中止を判断することに。 大江康弘町長は、海水浴場の閉鎖を決めたことなどについて「苦渋の決断だったが、観光客や町民の安全を第一に考えた判断で、ご理解いただきたい」と述べました。 観光シーズンに影響広がる 観光業界への影響も広がりました。 松山市の観光地、道後温泉では、宿泊のキャンセルが相次ぎ「道後温泉旅館協同組合」によりますと、影響は組合に加盟するおよそ30のホテルや旅館で数千人規模にのぼる見込みだということです。このうち、「道後プリンスホテル」では11日までのキャンセルは200人を超えたということです。 佐渡祐収社長は「最もにぎわう夏休みに向けて、部屋の改修や受け入れの準備などに全力をかけてきたので、非常に厳しい状況だ」と話していました。 徳島市の阿波おどりは、15日まで、屋外に演舞場やおどり広場を設けて開催されています。実行委員会によりますと、大津波警報を想定した避難誘導の計画を定めていて、スタッフに避難経路の地図を配布しているほか、会場の司会者には観客や踊り手を速やかに誘導できるよう原稿を渡して地震に備えているということです。 一方、臨時情報の影響で、チケットの返金の問い合わせが寄せられているほか、企業の踊り手グループの中には出演を辞退したところもあるということです。 実行委員会の庄野浩司委員長は、「臨時情報の発表は想定外のことだったが、来場者や参加者みんなに安心して楽しんでもらえるよう事細かに準備を重ね、きちんと実施できる体制をつくっていきたい」と話していました。 専門家はどう評価した? 「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の発表と社会の反応について、避難行動に詳しく南海トラフ地震臨時情報について高知県内などで認知度も調べてきた京都大学防災研究所の矢守克也教授は、今月8日まで臨時情報の認知度はかなり限定的だったとして「この1週間で多くの人が情報の存在を知り、トレーニングをしてもらう機会になったこと自体は前向きに評価できる」としています。 その一方、情報を見聞きしても備えの確認につながらなかったり、逆に防災対応に踏み込みすぎたりしたケースもみられたとして、「臨時情報の対応は、社会として、バランスのよい着地点なのかを探らなければならない情報だ。今回の対応を振り返り、これでよかったのかや、いい着地点はなかったのか検証することは大事だ」と指摘しています。 その上で、15日に臨時情報発表に伴う防災対応の呼びかけが終わっても、南海トラフ巨大地震が近い将来起こる可能性が無くなったわけではないとして、備蓄の強化や旅行する先で避難場所の確認など、これまで行った対応は今後も続けてほしいと呼びかけています。 一方、旅館やホテルなどで宿泊のキャンセルが相次いだことについて、専門家は、新型コロナの時のように補償をするのかどうかはこれまで考えられておらず、今後、議論や検討が必要になってくるのではないかと指摘しています。 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表を受け、高知県内では、一部の自治体で避難に関する情報が出された一方、発表されなかった自治体も多くありました。 矢守教授は「もともと臨時情報への対応をどこまで踏み込むのか、国が統一的に基準を決めているわけではなく、特に(巨大地震注意)の場合は自治体の判断に委ねられている。自治体ごとに地震や津波のリスクは違うため、対応が分かれたことは前向きに評価したい」としています。 その上で、こうした経験を自治体の間で共有し、今後に生かすことが大事だと指摘しています。 また、旅館やホテルなどで宿泊のキャンセルが相次いだことについては、いまの臨時情報の制度では経済的な被害について補償する仕組みはないとして、「新型コロナの時のいわゆる『自粛』や『自粛要請』に伴う外食産業や観光業に携わる方々への補償という問題と非常に似た構造を持っている。現段階では(巨大地震警戒)でも補償をするのか、しないのか、また、する場合は、どこが主体でどのような基準で、どのような仕組みのもとで行うことができそうなのか、全く考えられていない。 今回の(巨大地震注意)ですら被害が相当程度生じたので、補償をするのか、しないのかなど、今後検討が必要になってくるのではないか」と話しています。 また、今回避難した住民の中から「疲弊した」という声が上がったことについて、どういった工夫や準備をすれば快適になるか考えるための材料とし、住民や行政の双方で対策を考えていくべきだと呼びかけています。 実は知られていない”臨時情報”も… 南海トラフ巨大地震への注意を呼びかける臨時情報と同じように、北海道から関東にかけて被害が想定されていてる巨大地震への注意を促す情報が2022年から導入されていますが、十分周知が進んでいません。 北海道沖の「千島海溝」と三陸沖の「日本海溝」では、過去にマグニチュード7から9クラスの地震が繰り返し起きていて、最大クラスの巨大地震の発生が切迫していると考えられています。 国は、巨大地震に備えるため、「南海トラフ地震臨時情報」を参考におととし、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用を始めました。 気象庁は、想定される震源域やその周辺でマグニチュード7クラスの地震が発生した場合に、おおむね2時間後をめどにこの情報を発表し、その後の巨大地震が起きる可能性がふだんよりも高まっていると注意を呼びかけます。 南海トラフの巨大地震への注意を呼びかける臨時情報と同じく、事前の避難などは呼びかけず、発表から1週間程度は日常の生活を維持しつつ、すぐに避難できるよう備えておくことなどを求めます。 対象は、3メートル以上の津波や震度6弱以上の揺れなどが想定されている北海道と青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、それに千葉県の、太平洋側を中心とした自治体です。 この情報がどこまで普及しているかNHKが去年11月に北海道と青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の対象地域に住む1000人に、インターネットでアンケートを行ったところ情報の名称について69%が「聞いたことがない」と答えました。 また、「聞いたことがある」と回答した31%の人たちの間でも、内容の理解が十分進んでいないことがわかり、情報の周知が課題となっています。 [各地の受け止めは] 【和歌山】 和歌山県は、災害対策本部の会議を開き、はじめに和歌山地方気象台の職員から、南海トラフ地震の想定震源域では、地震活動や地殻変動に特段の変化は観測されなかったことが報告されました。 その上で、各部署で行われていた24時間態勢での職員の対応を終了し、災害対策本部は解散されました。 会議の中で岸本知事は「大地震が発生するおそれがなくなったわけではないので、今回高めた防災意識を保ってほしい」と県民に呼びかけました。 【三重 志摩】 三重県志摩市は、南海トラフ巨大地震で最大26メートルの高さの津波が想定されています。 大規模地震への注意を呼びかける期間は15日午後5時で終了しましたが、市では防災行政無線などで引き続き備えを呼びかけることにしています。 志摩市の山田達也危機管理統括監は「これで終わりではなく、家具の固定や飲料水の備蓄など日頃から備えることが重要だ。これを機に意識を高めてもらえるように防災の情報発信を続けていきたい」と話していました。 一方、住民からは臨時情報をきっかけに備えを進めたといった声が聞かれました。 市内に住む70代の女性は「臨時情報が出た時はびっくりしました。なるべく地震は起きないほうがいいですが、とりあえず命だけは守らなければいけないと思います」と話していました。 50代の女性は「臨時情報を受けて、非常用持ち出し袋をすべて見直し、缶詰や携帯用トイレなども追加しました。必要以上に気にして通常の生活ができないのはつらいですが、能登半島地震のように、突然地震が起こるかもしれないという心構えも必要だと思います」と話していました。 【高知】 高知市の実家に帰省中の23歳の女性は「地震が来たらすぐに避難できるように防災グッズを玄関に置いたり、避難場所などを確認したりしました。呼びかけの期間の終了で少しは安心できますが、何かあったらすぐに避難できるように準備していきたいです」と話していました。 【愛知 豊橋】 豊橋市の60代の女性は「臨時情報について、最初はよくわからないという印象だったが、その後、神奈川県で地震が起き、真剣に考えないといけないと思った。災害時の連絡先などについて家族と話し合う機会にはなったと思う」と話していました。 20代の女性は「賞味期限が切れていないかとか、子どものおむつはあるかなど備蓄の確認をして、水を買った。臨時情報自体は大げさだとかは思わないが買い占めなどが一部で起きていてよくないと思った」と話していました。 |
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KEY_WORD:能登2024-伊方原発_:日向灘-震度6弱-南海トラフ地震臨時情報_:NOTOHANTO-2024_:後発-地震-注意-情報_: | ![]() |
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