[2024_04_19_05]東電柏崎刈羽原発再稼働反対! 7号機の核燃料装填開始 柏崎市の「市民懇談会」…「住宅倒壊したら屋内退避なんて」等 疑問の声が多数、再稼働「ありき」の姿勢に批判 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2024年4月19日)
 
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東電柏崎刈羽原発再稼働反対! 7号機の核燃料装填開始 柏崎市の「市民懇談会」…「住宅倒壊したら屋内退避なんて」等 疑問の声が多数、再稼働「ありき」の姿勢に批判 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

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4つの項目紹介
1.東電柏崎刈羽原発再稼働へと突き進む国と新潟県
2.東電がRFSへの輸送計画を発表
3.危険な中間貯蔵施設への輸送
4.使用済み核燃料輸送は新規制基準の適用外だ

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1.東電柏崎刈羽原発再稼働へと突き進む国と新潟県
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◎ 4月15日東電は再稼働に向けて最終段階である規制庁による「使用前検査」を受けるため7号機の燃料プールから原子炉圧力容器への燃料移送を開始した。
 2023年12月27日、原子力規制委員会(規制委)は柏崎刈羽原発の「核燃料物質移動禁止命令」を解除した。
 法的には「原子炉等規制法第61条の2の2第一項に基づく原子力規制検査の対応区分「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)から「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更」することを決定した。

◎ しかし柏崎刈羽原発の再稼働には、地元の同意が必要だが新潟県も柏崎市・刈羽村も依然として同意に向けたプロセスを明らかにしていない。
 特に新潟県は3つの検証委員会「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」「新潟県原子力発電所事故による健康と生活への影響に関する検証委員会」「新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会」と、「検証総括委員会」(池内了委員長)の設置と議論が行われてきたが、花角英世知事になって県の姿勢が大幅に後退した。

◎ 2023年3月に池内委員長を解任し9月に新潟県が「総括報告書」をまとめて公表、委員長だった池内了さんが委員長としての責任を果たすために独自の検証報告を独自にまとめるなど、設置当初には全く想定していない事態になった。

◎ これら委員会の当初の設置目的は、柏崎刈羽原発の再稼働の是非を論ずるには福島第一原発の事故原因を追求し解明する必要があるとの考えからだった。
 新潟県は再稼働の議論の前提として、福島第一原発事故は何が原因で発生し、住民に対していかなる影響をもたらしたのかを検証することが必要として3つの検証を行った。
 3つの検証委員会が提出した報告書、それを取りまとめて検証総括委員会が総括を行うはずだった。

◎ 花角知事は「原発については3つの検証をしっかり進め、その検証結果が出るまでは、再稼働の議論はしません。国や東京電力には県民の安全最優先の姿勢で向き合います。」としている。
 しかし国からの圧力もあり、2022年度末までに検証結果を出させ、再稼働への合意形成に進むことを優先した。池内委員長に対して県の意向に従うよう圧力をかけ、決裂すると解任した。

◎ 再稼働を行うには地元自治体の同意が必要だ。
 そのため柏崎市では「市民懇談会」が3月27日から4月6日まで11の会場で開催され、参加者は延べ522人だった。
 市民からは、地震などの自然災害と原発事故が重なる複合災害時の避難についての懸念や、再稼働の是非を判断する際に住民の意思を確認する手法について問いただす発言が相次ぎ、再稼働「ありき」の姿勢に批判が集まった。

◎ 特に、正月に発生した能登半島地震では、原子力防災体制の崩壊を目の当たりにした。市民懇談会でも「避難道路の整備は」、「住宅倒壊したら屋内退避なんて」という疑問の声が多数を占めたという。
 しかしこれで懇談会は終了している。市民の合意形成ができたと柏崎市は考えているのか。
 花角知事は県が再稼働の同意を行う際には、県民の意思を確認することを公約している。しかし方法は依然として明らかにしていない。

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2.東電がRFSへの輸送計画を発表
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◎ 東電と日本原電が共同出資したリサイクル燃料貯蔵の中間貯蔵施設(以下、RFS)は、青森県むつ市に建設され新規制基準適合性審査を終えて使用前検査に合格すれば操業可能な状態にある。
 検査では実際に燃料体を入れた容器が必要だ。
 規制区分が変更され燃料輸送が可能になったことで、東電はさっそくRFSへの輸送準備に入った。
 2024年3月27日、RFSは「7月から9月の間」に柏崎刈羽原発から輸送行うと発表した。使用済燃料69体を入れた金属製の容器1基を搬入する。

◎ 今後、RFSは安全協定を締結した上で7〜9月の輸送に続き、2025年度に2基、26年度に5基を搬入する事業計画を県などに示した。
 8基で燃料集合体552体、ウラン重量は約96トン。施設は使用済核燃料を最大5000トン収納する容量を有し、最長50年にわたって貯蔵するとされる。

 一方で、日本列島は地震や津波などの自然の猛威に直面している。
 使用済み核燃料輸送船が港に入っている時に地震と津波に襲われる可能性は、今の日本では新潟県で起きる可能性が高いといえる。もちろん他でも十分起こり得る。
 現に4月3日には台湾沖のM7.7の地震により沖縄で津波が観測された。
 日本や周辺ではいつでも何処でも地震と津波が発生することを示している。

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3.危険な中間貯蔵施設への輸送
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◎ RFS(リサイクル燃料貯蔵の中間貯蔵施設)に使用済み核燃料を運び込むには、むつ市関根浜港に荷揚げするが、その設備、岸壁、さらには周辺地域の断層の状況や津波発生状況について、東電は自ら審査を受けているわけではなくRFSが行っている。
 下北半島北部もまた、能登半島のような隆起地形であり、巨大地震や津波災害に加え、火山災害も発生する可能性が指摘されているが、そういうリスクについて、新規制基準の後で何か変わったのか。

◎ 「リサイクル燃料備蓄センター使用済燃料貯蔵事業変更許可申請書」添付書類四(使用済燃料貯蔵施設を設置する場所における気象,地盤,水理,地震,社会環境等の状況に関する説明書)で記述されている内容は、いずれについても建屋の健全性よりも容器そのものの堅牢さをもって、重大な放射能災害に至らないとしている。

◎ 原子力施設の多くは、新規制基準で「想定された地震や津波対策」を行っていても、なお発生しうる過酷事故対策として特定重大事故等対処施設(特重)の設置など従来の安全対策に加えて電源設備や注水能力の強化を図った対策を採用しているが、核燃料輸送には同等の対策はない。
 また、荷役港など、発電所港とは異なる場所の対策については、「緊急離岸等の対応を適切に実施できるよう準備を進る」程度で、具体的なものは存在しない。
 また、使用済燃料輸送に関する国の規制も東日本大震災前から今も何ら変わっていない。

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4.使用済み核燃料輸送は新規制基準の適用外だ
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◎ 法令上、輸送の安全対策は国土交通省令に基づき危険時における措置を行っていくとされている。
 なお、「発電所港及び荷役港における地震、津波等時の緊急離岸等の対応強化」は原子力施設への対策であり、輸送時の対策ではない。
 具体的には、「核燃料物質や核燃料物質によって汚染された物質を原発や工場の外で運搬」する場合は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)」第59条(運搬に関する確認等)で国土交通省令に基づいて実施すると定めている。

◎ 新規制基準は、原発の事故対策で従来想定していなかった格納容器の破損や大量の放射性物質の拡散も想定し、原子力防災指針でPAZやUPZを定め、各自治体や内閣府と共に原子力防災計画の策定を、従来の立地自治体だけでなく概ね30キロ圏の自治体全てにおいて策定することとされた。

◎ 使用済み核燃料輸送や放射性廃棄物輸送で、そうした改訂や見直しがあったのか。
 現実には何の変更もない。
 原発の「想定外を想定する」として、大規模地震や津波では新規制基準で規制対象としたが、使用済み核燃料輸送については従来と変わらず容器の耐久性のみを検査するだけで、例えば使用済燃料輸送中に沈没、座礁、容器破損等を想定したものになっていない。
 能登半島地震を教訓化して燃料輸送全体について大きな見直しが必要であるはずだ。

◎ しかし東電も国も「能登半島地震から新たな教訓・知見が得られた場合は、その内容を踏まえて更なる安全性向上を検討」としているだけである。
 輸送に関しては、電力会社とRFSとのあいだで責任分界が設けられている。
 燃料体を入れた輸送容器がむつ市のRFS中間貯蔵施設の敷地に到達した段階であることがRFSから示されている。
 しかし、東電側はこの質問への回答は拒否した。

◎ どこから何処までが東電の責任で、どこまでが輸送事業(原燃輸送)の責任という認識については、使用済み核燃料の輸送では原燃輸送が行っている輸送について一義的には東電の責任であることを認めている。
 事故が起きた場合の対策、回収、賠償は一元的に東電の責任である。
 これは、東電株主にとっても重大なことであり、福島第一原発の事故への賠償責任と同様に、使用済み核燃料輸送の事故時には、東電の責任として株主にも応分の責任があるのである。
        (初出:4月19日発行「たんぽぽ舎金曜ビラ」No482)
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