[2024_05_05_04]原発、複合災害への備えに厳しい目 運転延長に51%賛成だが、避難計画には84%「検証必要」 南日本新聞社・意識調査(南日本新聞2024年5月5日)
 
参照元
原発、複合災害への備えに厳しい目 運転延長に51%賛成だが、避難計画には84%「検証必要」 南日本新聞社・意識調査

 06:47
 南日本新聞社が鹿児島県民に4月実施した意識調査によると、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の原則40年を超える運転延長について賛成は51.6%となり、反対の44.4%を7.2ポイント上回った。1号機の延長が7月に迫る中、賛否が拮抗(きっこう)した2023年の調査と比べて差が4.6ポイント拡大した。一方、原発事故時の避難計画の検証が必要としたのは84.6%に達し、能登半島地震で高まった複合災害への懸念を色濃く反映した。

 川内原発1号機は7月、2号機は25年11月に40年の運転期限を控える。原子力規制委員会は20年の運転延長を23年11月に認可し、塩田康一知事と同市の田中良二市長は同12月にそれぞれ容認している。ただ、1月の能登半島地震では建物倒壊や北陸電力志賀原発(石川県)30キロ圏内で道路寸断による集落の孤立が発生。避難計画の実効性は疑問視されている。

 調査では、運転延長に「賛成」29.5%、「どちらかといえば賛成」22.1%の計51.6%に対し、「反対」23.4%、「どちらかといえば反対」21.0%の計44.4%となった。「分からない」は4.0%。
 前回調査の23年は賛成計48.2%、反対計45.6%で差は2.6ポイントだった。運転延長が既定路線となり、現状を追認する人が一定程度増えた可能性がある。ただ、賛成の理由からは消極的な選択の比重が大きいことがうかがえる。
 賛成の理由は「再生可能エネルギーが普及するまでは必要」31.5%、「電力供給量が不足する」28.4%が上位。「40年を過ぎても安全性に問題はない」18.3%、「地域の活性化に必要」14.1%、「国が認可し、地元自治体も容認した」3.4%の順だった。

 反対の理由は「安全性に疑問がある」38.9%が突出して多かった。次いで「原発は廃止すべき」28.2%、「できるだけ早く再生可能エネルギーに移行すべき」25.6%、「電力供給量は足りている」2.8%と続いた。
 避難計画の検証の必要性は「必要」と「どちらかといえば必要」がそれぞれ57.8%、26.8%に上ったのに対し、「必要ない」「どちらかといえば必要ない」は2.8%、6.0%にとどまった。規制委は計画の基準となる指針を見直す議論を始めたが、複合災害への備えに厳しい目が注がれていると言えそうだ。

 運転延長への賛否で男女別では、男性のほぼ全世代と女性の30代以下で賛成多数、女性は40代以上が全世代で反対多数だった。男女問わず世代が上がるにつれ反対が増える傾向だった。
 調査は4月20、21日に行い、1029人の回答を得た。

 ◇

 ▽調査の方法=鹿児島県内の18歳以上を対象に4月20、21の両日、固定電話と携帯電話に、コンピューターで無作為に発生させた番号をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。自動音声応答通話(オートコール)方式を採用。携帯電話で同意した人にはショートメッセージサービス(SMS)を使い質問に答えてもらった。1029人の回答を得た。性別の内訳は男性626人、女性365人、答えない38人。
KEY_WORD:能登2024-30キロ圏内-約400人-8日間孤立_:NOTOHANTO-2024_:SENDAI_:SIKA_:再生エネルギー_: