[2025_03_06_02]東北新幹線 連結外れ「こまち」側に原因か 連結運転は全面停止(NHK2025年3月6日)
 
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東北新幹線 連結外れ「こまち」側に原因か 連結運転は全面停止

 21:34
 6日午前、東京都内を走行中の東北新幹線の「はやぶさ」と「こまち」の連結部分が外れました。JR東日本は車両の状況などから「こまち」側に原因がある可能性が高いとみて詳しい原因を調べています。また、原因が判明し、必要な対策が完了するまでの間、連結での運転をすべて取りやめるとしています。

 目次
   JR東日本会見 “連結部が外れる事象再び発生 極めて重大”
   JR東日本 “払い戻し 買い直しなど案内”

 6日午前11時半ごろ、東京都内の上野・大宮間を走行していた東北新幹線下りの「はやぶさ」と「こまち」の連結部分が外れて線路上で停車しました。
 JR東日本によりますと連結部分が外れて自動的にブレーキが作動し止まったということで、外れたときの速度は時速およそ60キロメートル、離れた車両どうしの距離はおよそ8メートルでした。
 この列車は東京駅を午前11時20分に出発した「はやぶさ21号」と「こまち21号」で、「はやぶさ」は新青森行きの10両編成、「こまち」は秋田行きの7両編成でした。
 当時、乗客642人が乗っていてけが人はおらず、その後、車両は大宮駅に移動して乗客を降ろしたということで、東北新幹線などはおよそ3時間にわたって運転できなくなりました。

 15万人以上に影響

 JR東日本によりますと、新幹線111本が運休したほか、166本が遅れ、15万2800人に影響が出たということです。

 東北新幹線 去年9月にも連結外れる

 東北新幹線では去年9月にも宮城県内を走行中に「はやぶさ」と「こまち」の連結部分が外れていて、JR東日本はその後、対策をとったため今回は前回とは異なる仕組みで外れたとみられるとしています。
 そのうえで、車両の状況などから「こまち」側の連結部分に関係する電気系統に原因がある可能性が高いとみられるとしています。
 「こまち」側に原因があるとみている詳しい理由は明らかにしていません。
 JR東日本は原因が判明し、必要な対策が完了するまでの間、連結での運転をすべて取りやめるとしています。
 このため、一部を除き秋田や山形への直通運転を行わないほか、すでに切符を買った人に対し窓口などでの払い戻しや買い直しを案内するとしています。
 国の運輸安全委員会は重大な事故につながるおそれがあった重大インシデントとして詳しい原因を調べる方針です。

 「はやぶさ・こまち」とは

 「はやぶさ・こまち」は東京と新函館北斗駅の間と、東京と秋田の間を結ぶ路線で、最高速度は国内最高の時速320キロに達します。
 下りの場合は、東京駅から盛岡駅まで連結された状態で走行し、盛岡駅で連結が外されて青森方面への「はやぶさ」と秋田方面への「こまち」に分かれます。

 JR東日本会見 “連結部が外れる事象再び発生 極めて重大”

 JR東日本は都内の本社で記者会見を行いました。
 新幹線統括本部の池田裕彦本部長は「昨年9月にも走行中に連結部が外れる事象が発生し、対策を講じてまいりましたが再びこのような事象が発生したことについて極めて重大であり、重く受け止めています。多くのお客様にご迷惑とご心配をおかけしていることを深くおわび申し上げます。この度は本当に申し訳ありませんでした」などと陳謝しました。

 R東日本によりますと、連結部分が外れて自動的にブレーキが動作し、停車したということです。
 停車したのは東京駅からおよそ6キロメートルの場所で、連結が外れたときの速度は時速およそ60キロメートルだったということです。
 離れた車両どうしの距離はおよそ8メートルで、連結部分に破損は確認されなかったということです。
 JR東日本は、去年9月に連結部分が外れたことを踏まえた対策を行ったため、今回は前回とは異なる仕組みでトラブルが起きたと考えているとしています。
 そのうえで「こまち」側の連結部分に原因がある可能性が高いとみているということです。
 連結部分は電気的な指令で外れる構造のため、何らかの回路の異常や端子のトラブルがあった可能性を含めて調査するとしています。
 「こまち」側の連結部分に原因があるとみている理由は明らかにしていません。
 また、今回、走行中に連結部分が外れる途中段階の「分割準備中」という状態になり、その後、完全に外れたとみられるということです。
 「分割準備中」の状態になった原因はわかっていないということです。

 必要な対策完了するまで 連結運転すべて取りやめ

 今回のトラブルを受けJR東日本は「はやぶさ」と「こまち」、「やまびこ」と「つばさ」などの連結での運転を、7日も中止すると発表しました。
 JR東日本によりますと、連結が外れた原因が判明し、必要な対策が完了するまでの間、新幹線を連結させた運転をすべて取りやめるということです。
 このため、連結せずに運転する一部の山形新幹線をのぞき、秋田や山形への直通運転は行われず、秋田へは盛岡駅で、山形へは福島駅で乗り換えが必要だとしています。

 JR東日本 “払い戻し 買い直しなど案内”

 また、少なくとも7日までは新幹線を連結させた運転をすべて取りやめるため、すでに切符を買っている人に対して窓口などで払い戻しや買い直しなどの案内をするとしています。

 【動画】連結部分が外れた新幹線と見られる車両(37秒)
 6日午前11時半ごろ、JR日暮里駅付近を撮影した動画
 ※動画はデータ放送ではご覧になれません。

 連結部分外れ 去年9月にも

 東北新幹線では、去年9月にも宮城県の古川駅と仙台駅の間で、車両の連結部分が走行中に外れて線路上で停車しました。
 JR東日本によりますと、管内の新幹線で走行中に連結部分が外れるのはこの時が初めてだったということです。
 JR東日本は、金属片がスイッチの端子に接触したことで、車両を分離させる機能が働き、走行中に外れたとみられるとしていました。

 専門家 “前回調査や対策が根本的に誤っていた可能性”

 鉄道工学が専門の日本大学の綱島均特任教授は「走行中の新幹線の連結が外れると重大な事故につながるおそれがあり、あってはならないことだ。それが半年もたたないうちに2度も起きるということは前回の調査結果や対策が根本的に誤っていた可能性がある。車両をつなげて走らせる連結への信頼が失われている状況だ」と指摘しています。
 また、原因については「現段階で言及するのは難しいが、映像などを見るかぎり、物理的な破損などはみられないので、連結部分が外れる仕組みを考えると、電気的な部分に原因があったのではないかと思われる。ただ、去年9月に問題が起きたあと、仮に電気信号が送られても走行中には連結が外れないよう対策をとったはずなので、なぜ外れてしまったのか疑問だ」と話しています。
 その上で「そもそも走行中の新幹線や列車の連結が外れることはめったに起きない。前回、外れたときに国の運輸安全委員会が重大インシデントとして調査を行っていれば2度目は起きなかった可能性がある。JR東日本は外部の目を入れて、本質的な原因究明と対策を行っていくべきだ」と指摘しています。

 林官房長官 “原因究明と再発防止策の検討を”

 林官房長官は午後の記者会見で「去年9月に同様の列車分離事案が生じたことを受けて、車両を保有するJR東日本とJR北海道では暫定対策は措置済みだと承知しているが、今回の事案発生を踏まえ改めて国土交通省から両社に対し、暫定対策の効果を含め原因究明と再発防止策の検討を指示した。両社には安全対策を徹底してほしい」と述べました。
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