[2025_03_07_05]再稼働目指す柏崎刈羽原発 重大事故への対応策 最終案まとめる(NHK2025年3月7日)
 
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再稼働目指す柏崎刈羽原発 重大事故への対応策 最終案まとめる

 06:18
 東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原子力発電所で重大事故が起きた際の住民避難などの対応策について、内閣府などが、地元から懸念が示されていた大雪への対応を盛り込んで最終的な案をまとめたことが関係者への取材で分かりました。緊急時の対応策は事実上再稼働の要件の一つになっていて、政府は対応策の取りまとめなどを通して早期の再稼働につなげたい考えです。

 柏崎刈羽原発では再稼働に向けて準備が進んでいた7号機が、テロ対策施設の完成延期により、ことし10月以降、3年から4年程度運転できなくなる見通しで、東京電力はことし夏までにいったんは再稼働させたい考えを示しているほか、政府も前面に立って対応するとしています。
 こうした中、内閣府などが柏崎刈羽原発で重大な事故が起きた際の住民避難などの対応策について、最終的な案をまとめたことが関係者への取材で分かりました。
 対応策の案では、地元から懸念が示されていた大雪と事故が同時に起きた際の対応について、大雪の特別警報が出るような避難が難しい状況では、自宅などで屋内退避するとしているほか、原発から5キロから30キロの範囲では屋内退避中にも屋根の雪下ろしなど、最低限必要な一時的な外出は可能だとしています。
 緊急時の対応策は事実上再稼働の要件の一つで、この案は、7日開かれる国と県などで作る協議会の作業部会で示されることになっています。
 柏崎刈羽原発の再稼働をめぐっては、新潟県の同意が焦点になっていて、政府は、対応策の取りまとめなどを通して同意を得るための環境を整え、早期の再稼働につなげたい考えです。

 柏崎刈羽原発 再稼働をめぐる動き

 柏崎刈羽原発は首都圏に電力を供給する東京電力が保有する現在唯一の原発です。
 東京電力は6号機と7号機の再稼働を目指していて、このうち7号機は去年4月に原子炉に核燃料が入れられるなど設備面の準備が最終段階に入っています。
 ただ、原子力規制委員会から設置が義務づけられているテロ対策施設の完成が期限までに間に合わず、ことし10月以降、3年から4年程度停止する見込みになっています。
 東京電力は夏場の電力需要を賄うためなどとして、7号機をことし夏までにいったんは再稼働させたい考えで、テロ対策施設の設置期限まで4年余りある6号機は、ことし6月に核燃料を入れたうえで7号機の後に再稼働させたいとしています。
 政府も、東日本の電力供給や、電気料金の格差解消などの観点から、柏崎刈羽原発の再稼働を重視し、前面に立って取り組むとしています。
 再稼働をめぐる焦点は、地元の新潟県が同意するかどうかです。
 花角知事は原発の安全性の評価や、事故が起きた場合の避難対策などをもとに、県民の意見を聞いたうえで判断するとしています。
 政府は再稼働に理解を得ようと、新潟県が求めている避難道路の整備を進める方針を示したほか、住民向けの説明会を実施するなどしています。
 今回、内閣府などが最終案をまとめた原発で重大な事故が起きた際の対応策は、これまでに再稼働した原発でも先に取りまとめられている事実上の再稼働の要件の一つで、政府としては、対応策の取りまとめによって、知事の同意を得るための環境をさらに整えたいねらいがあります。
 ただ、新潟県では、再稼働の是非を問う県民投票の実施を求める署名が提出されていて、条例の制定を直接請求するために必要になる数を超える署名が有効とされれば、ことし4月ごろに県議会の臨時会が招集され、県が知事の意見をつけて提出した条例案が採決される見込みです。
 こうした動きも踏まえて花角知事がいつどのように判断するかが注目されます。
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