[2024_12_16_03]大間原発 安全審査申請10年 プラント審査視野に 基準地震動 年度内に策定(東奥日報2024年12月16日)
 
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大間原発 安全審査申請10年 プラント審査視野に 基準地震動 年度内に策定

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 電源開発(Jパワー)が大間町に建設中の大間原発は、2014年12月に原子力規制委員会の安全審査を甲請してから16日で丸10年となった。難航していた地震動評価が前進し、Jパワーは年度内にも、設計や安全確認の目安となる地震の揺れ「基準地震動」を示す方向だ。地震・津波審査と並びもう一つの柱であるプラント(設備)審査も視野に入るが、なお審査合格までの道のりは遠い。地元が期待する本格工事の再開時期も不透明だ。
 今月6日の審査会合。残る最大の難題だった、大間崎付近の隆起を巡る地震動評価が進展した。Jパワー幹部は終了後、「基準地震動が決まれば、来年度にもプラント審査という形でいけるよう条件を整えたい」と意欲的に語った。
 隆起を巡っては、調査で断層が確認されない中、断層があると仮定して評価する方法が固まるまで年単位の時間を要した。「先行事例がないだけに相当考えた」とJパワー幹部。原子力規制庁の担当者は「事業者の説明は十分納得のいく内容だ」と認めた。
 これで基準地震動を選定する全ての条件がそろう見通しが立った。これまでの解析から、地震動の最大加速度は10年前に引き上げた650ガルをさらに上方修正する可能性が高い。
 もう一つの難題だったのが、敷地内にある粘土質の薄い層(シーム)の評価だ。規制側の指摘により評価方法を見直し、最終的にはその層を除去するなど工学的に対処する方向で検討している。説明はまだ残るものの、規制側は、ほぼ論点はないとしている。
 津波は、満潮を考慮して敷地に到達する最大高さを約7・1メートルとし、侮技12メートルの地点にある原子炉などには到達しないと評価した。
 10年を要した地震・津波審査にめどが立ち、ようやくプラント審査を視界に捉えた。ただ、大間原発は、全ての炉心でプルトニウムを含むMOX燃料を燃やせる世界初の原発。安全性向上に向けた議論に、この特性がどこまで影響するかは、現時点で見通せない。
 審査の長期化を理由に、Jパワーは9月、「24年後半」としていた安全強化対策工事の開始時期を延期した。新たな工程は、2年後の26年9月をめどに、審査状況を踏まえて明示する方針とした一方で、「30年度」の運転開始は目標として堅持した。
 今月6日に開かれた町議会大間原発対策特別委員会で、Jパワー大間現地本部の藤田隆司本部長は「決して簡単ではないが、目標達成を目指しできる限り頑張っていく」と強調した。
 本格工事中断は長きにわたっており、野ざき尚文町長は「工事再開に向け作業員を段階的に増やしてもらい、経済活性化に貢献してほしい」と取材に語った。
    (本紙取材班)
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