[2024_11_26_02]島根原発2号機再稼働 医師ら懸念「腹くくるしかない」 連載「再稼働秒読み、島根原発2号機 残る課題」〔2〕(中国新聞2024年11月26日)
 
参照元
島根原発2号機再稼働 医師ら懸念「腹くくるしかない」 連載「再稼働秒読み、島根原発2号機 残る課題」〔2〕

 18:48
 自然災害と原発事故が同時に起こる複合災害で不安視されるのが、高齢者やけが人たち「災害弱者」の避難だ。島根県内の病院や福祉施設は今月、複合災害を想定した訓練に臨んだ。中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働が近づく中、現場の医師や職員は強い懸念を抱えていた。
 「避難の道中は病院職員が患者に付き添いたい。ただ、原発事故の中で職員が戻って来られるか。病院が手薄になるのが心配」。島根原発5キロ圏内にある唯一の病院、鹿島病院の防災担当職員(59)がジレンマを語る。
 9日の訓練では中国電力の福祉車両を使い、ストレッチャーで1人を運び出した。同院は約150人が入院し、90人は寝たきり。ほぼ全員、避難時にストレッチャーか車いすが要る。車いすが乗る車は病院に3台で、他組織の支援に頼るしかない。
 (中略)
 16日には、原発事故時に医療の中心となる島根県立中央病院(出雲市)で5年ぶりの訓練があった。被曝(ひばく)したけが人2人を受け入れる想定。防護服を着た医師や看護師が、放射線量を測って除染しながら2、3時間かけて治療した。
 同院の山森祐治副院長(63)は訓練後、「課題だらけだ」とつぶやいた。被曝患者が大勢来たら対応は難しい。
 一方で福島では被曝ではなく、あわてて逃げた行き場のない患者が亡くなった。「われわれも行政も県民も、何ができるかもう一度考えるべきだ。原発を動かすなら、皆が腹をくくるしかない」(新山創)
KEY_WORD:SHIMANE_: