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[2024_10_16_09]トンガの海底火山の大規模噴火、謎だったメカニズムが2年越しで解明される(WIRED2024年10月16日) | ![]() |
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参照元
04:00 2022年1月にトンガで発生した海底火山の大噴火は、観測史上で最大規模の自然現象となった。この大災害の引き金となったメカニズムは長らく謎に包まれていたが、このほどオーストラリアの研究者たちによって解き明かされた。 トンガのフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山で2022年1月15日の17時ごろ(現地時間)に発生した海底火山の爆発的噴火の様子。そのメカニズムがようやく明らかになった。Photograph: New Zealand High Commission/ZUMA Press/Aflo 2022年1月15日に南太平洋のトンガで発生した フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火 は、観測史上まれに見る大規模な自然現象となった。噴火によって生成された火山灰は高さ58kmにまで達し、トンガ周辺の島々では45mの高さの津波が観測された。 この噴火はどのようにして発生したのか。科学者たちは長らくそのメカニズムを解明できずにいたが、このほどオーストラリアの研究チームが大規模な噴火を引き起こした要因を明らかにした。 「爆発の原因はガスで圧縮された岩石でした。そのエネルギーは北朝鮮が2017年に実施した最大規模の地下核実験5回分に匹敵します」と、オーストラリア国立大学(ANU)のジンイン・フーは説明する。 フーらの研究チームは、噴火に伴って発生した膨大な量の地震波形データを解析して、これまで不明だった物理的なメカニズムの解明に成功した。 熱しすぎた“圧力鍋”が浅瀬で爆発 これまでは熱いマグマと冷たい海水の相互作用が大規模な噴火を引き起こしたと考えられていたが、実際には異なるメカニズムが働いていたようだ。研究者たちによると、ガスによって圧縮された岩石が浅瀬の下に閉じ込められていたことで過剰な圧力が蓄積し、加熱しすぎた圧力鍋のような状態だったという。これがフンガ・トンガの海底噴火の引き金となった可能性が高い。 この爆発により巨大な水柱が垂直に押し上げられ、45mもの高さに到達する津波を引き起こした。その水量はオリンピックサイズのプール約100万杯分に相当すると、ANUのタン・ソン・ファム博士は指摘する。また、ANU教授のフルボイェ・トカルチッチによると、噴火で持ち上げられた水柱の反動によって海底そのものが上昇していたことが、地震波形モデルから明らかになった。 トンガでの火山噴火は、なぜあれほど大規模だったのか? 新たな手がかりから明らかになったこと By Gregory Barber 研究チームは今回、従来の解析手法では説明が困難だった噴火の物理メカニズムを解明するために、モーメントテンソル(地震のエネルギーを力が働く面と向きに分解したもの)とシングルフォース(特定の方向に働く力)を組み合わせた複合震源モデルを使用した。 この複合モデルにより、研究チームは爆発的なエネルギーの放出を確認すると同時に、上向きの大きな力が噴火の主な要因であることを特定できた。この上向きの力は、海水が急激に持ち上げられたことによって海底にかかる圧力が急激に低下し、地球が反発するかたちで発生したものであると、研究者たちは結論づけている。 ANUの地震学者たちは、この研究によって火山噴火のメカニズムを解明するうえで新たな一歩を踏み出したと考えている。「フンガ・トンガの噴火は、観測史上で最も精密に記録された火山噴火のひとつです。衛星画像や地震センサーから得られたデータを用いることで、これまでになく詳細な解析が可能になりました」とフーは説明している。 1991年にもフィリピンのピナトゥボ火山で同規模の噴火が発生したが、当時は現在のような高度な監視システムが整備されていなかった。今回のフンガ・トンガ噴火の解析結果は科学的な価値が非常に高い事例とされる。 研究者たちは、火山ガスの放出や微小地震の監視を通じて、将来の噴火に備える必要性を強調している。特に今回のような規模の噴火が発生する可能性を予測するためには、ガスの動きや地下の変化を長期的に観測することが重要だという。 (Edited by Daisuke Takimoto) ※『WIRED』による 火山の関連記事はこちら。 |
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KEY_WORD:トンガ_津波_: | ![]() |
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