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[2024_09_16_02]活断層がない場所に“段差” 「なんでこんなとんでもない物が…」 掘削調査で見えた2つの地層(TBS2024年9月16日) | ![]() |
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参照元
19:00 震度7を観測した能登半島地震で、石川県珠洲市ではおよそ7キロにわたって地盤が隆起し、突如「崖」が現れました。研究者も驚くこの地形の変化は、どのようにして生じたのか、その謎に迫ります。 活断層がないのになぜ?全長7キロの“崖” 珠洲市役所から北西におよそ6キロ進んだ山間部にある若山町。元日の地震で地盤が隆起し、場所によって最大で高さ2メートルほどの崖ができました。段差は田んぼや川を横切り、およそ7キロにわたって続いています。 [写真] 住宅の敷地内にできた崖 地震前までは平らだった=珠洲市若山町、2024年2月13日 2月上旬、住宅の敷地内に突如段差ができたという80代男性は「元は平らだった。びっくりした、なんじゃこりゃと。ひどいことになった」と取材に答えていました。 この段差の最大の謎は、近くに活断層がないこと。地震の際にずれが地表にまで到達してできる「地表地震断層」のような形をしていますが、若山地区は、元日の地震で動いたとみられる海底活断層からは7キロ余り離れています。 [図] 能登半島地震の震源断層とされる海底活断層から若山町の段差は約7キロ離れている 「なんでこんなとんでもない物が…」研究者が掘削調査 活断層がない場所になぜ段差が生じたのか、研究者も頭を悩ませています。 金沢大学で地震学が専門の平松良浩教授も「なんでこんなとんでもない物がここに現れるのか。地表地震断層以外でこのような段差を見るのは私自身も初めて」といいます。 歴史をさかのぼれば、段差の成り立ちを解明できるのではないか。8月19日、富山大学や金沢大学が地下の構造を調べるトレンチ調査に乗り出しました。段差が生じた畑の一角を借りて、重機で深さ2メートルほどの溝を掘っていきます。 [写真] 畑の中に掘られた“トレンチ” 研究後にはまた埋め戻される=珠洲市若山町、2024年8月19日 作業開始から2時間。地下に“断層”のような構造が現れました。 掘削で見えた2つの地層 過去にもずれ動いたか [写真] 画像の左上と右下の間に地層の境界が現れた=珠洲市若山町、2024年8月19日 左側は泥が堆積してできる頁岩(けつがん)、右側は小石からなる礫岩(れきがん)。2つの異なる地層があらわになりました。断層が過去にずれ動いた痕跡です。 研究グループは、元日の地震のように離れた場所にある活断層がずれ動くことでエネルギーが加わり、地形が繰り返し変化した可能性があるとみています。 平松教授は「1月1日のような地震が過去にもあって、そのときに別の地下の断層が動いて、今回それに隣接する地下の断層がまた動いて、地表に大きな断層を作った。過去にも繰り返し動いているという明確な証拠が得られるか、調査の重要な目的として取り組んでいる」といいます。 [写真] 断層は他の活断層によるエネルギーに押されて過去にも動いたと話す平松教授=珠洲市若山町、2024年8月19日 研究グループは10月上旬にかけて史料を解析し、断層がずれ動いた年代を特定するなどして、地形の成り立ちを詳しく分析することにしています。 「能登で地震が多いから金沢に引っ越す」は危険? 石橋弘崇キャスター: この“謎の断層”は活断層ではないけど、別の断層の力で動いたということですか? MRO災害担当 木村洸記者: そういうことです。この場所には元々、2つの地層がぶつかるような力が加わっていますが、離れたところにある活断層、今回でいうと沖合にある海底活断層ですが、その力が加わって付随的に動いたのではないか、とみられています。 兵藤遥陽キャスター: 能登半島地震から8か月以上がたちましたが、いつまで警戒が必要でしょうか。 木村記者: 全体的にみると震度1以上の地震の回数は徐々に少なくなってきています。ただ去年は震度6強の地震があった5月5日のあと、6月から12月は平均で月に10回程度だったんですが、それと比べると、2024年8月はまだ18回発生しているので、まだ2倍近くと、多い状態が続いています。 [図] 月別の震度1以上の地震回数 突出して多かった2024年1月に比べると全体的には減少している そして思い出してほしいのが、4年前、2020年3月に輪島市で震度5強を観測する地震があったのを覚えていますか? 兵藤キャスター: たしか夜中の2時くらいの地震でしたよね。 木村記者: このときの地震は、2007年の能登半島地震の一番大きい余震と考えられています。このように10年以上たった後も時折こうした地震が起こる可能性があり、今回の能登半島地震の震源域でも十年、十数年スパンで地震に注意が必要です。 兵藤キャスター: 被災地には今も崩れかかったままの建物がまだいっぱいありますから、これは心配ですね。 木村記者: ただ一概に能登だけが危ないということではありません。 [図] 地図は従来の森本・富樫断層帯や邑知潟断層帯などのほかに国が2024年8月に長期評価を公表した海域活断層も加えた こちらの地図は、国が公表している活断層ですが、元日の地震の震源になったとみられる能登半島北岸断層帯のほかにも、県内には邑知潟(おうちがた)断層帯や、金沢市の直下を通る森本・富樫(もりもと・とがし)断層帯などたくさんの活断層があり、元日の地震でひずみが加わり、以前よりも地震を起こしやすくなっている可能性があります。 平松教授も「能登で地震が多いからといって、これを機に金沢に引っ越そう、というのはどうなのか」と首をかしげていました。 石橋キャスター: 県内どこにいても、地震のリスクと隣り合わせ、ということですね。 木村記者: ただ最近になって、1ついい変化もありました。 群発地震の原因 “地下の流体”による地殻変動が収束へ 元日の地震が起こる前まで、珠洲市周辺では3年以上にわたって群発地震が続いていましたが、この群発地震は地下にある水のような流体が原因とされています。地上では、流体によって地盤がゆっくりと膨張するような地殻変動が観測されていましたが、その地殻変動が徐々に収束してきています。 京都大学防災研究所・西村卓也教授 「6月にあった規模の地震(6月3日の震度5強)はまだ可能性があると思うが、深い所からの流体の供給は止まっているので、徐々に落ち着いていくセンス(傾向)だと思う」 金沢大学の平松教授も供給された流体の量などから、群発地震は3年程度で収束すると以前の取材に答えていて、もし本当にこのまま収束すれば、群発地震に限っていえば、ある意味“予定どおり”活動が終わることになりそうです。 |
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KEY_WORD:能登半島地震-活断層がない場所に段差_:NOTOHANTO-2024_: | ![]() |
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