[2024_04_22_02]東北電力 東通原発の安全対策工事 完了時期の延期を決定(NHK2024年4月22日)
 
参照元
東北電力 東通原発の安全対策工事 完了時期の延期を決定

 18:18
 東北電力は再稼働の前提となる東通原子力発電所の安全対策工事について、今年度中としていた工事の完了時期の延期を決めました。
 原子力規制委員会による審査への対応にさらに時間がかかるためで、新たな目標は現時点では示さず、来年9月末ごろに示す見通しだということです。
 東北電力は13年前の東京電力福島第一原発の事故のあとに運転を停止している東通村の東通原発について、再稼働の前提となる新たな規制基準に基づく安全対策工事について今年度中に終える計画を立てていました。
 目標まで1年を切る中、東北電力は22日、残りの審査にかかる時間を想定するのが難しいとして目標を延期する方針を決め、樋口康二郎社長が青森県庁を訪れ、宮下知事に報告しました。
 新たな目標を現時点で示すことも難しいということで、宮下知事は「誠に遺憾だ。新たな工事完了時期を現時点で示せないと、地域住民に発電所が再稼働できるのかという不安のようなものを与えかねない」と応じました。
 これに対して、東北電力の樋口社長は1000万年に1回程度発生する可能性のある津波などへの対応に時間がかかるためで新たな目標の精査には、1年半ほど時間がかかると説明しました。
 新たな目標を示す具体的な時期は来年9月末ごろを想定しているということで、東北電力の樋口社長は「皆様方のご期待に添えておらず本当に重く受け止めている。新たな目標についてもできるだけ早く示せるように頑張りたい」と話していました。
 一方、宮下知事は「事業がこれから本当に進むのかということに対する不安を抱きかねない報告だった。特に東通村にとっては、財政的な影響もあるし、工事や事業という意味では、周辺の地域経済に大きな影響があると思っている」と話していました。
 東北電力東通原発の安全対策工事の完了時期が延期されるのは、福島第一原発の事故のあと、6回目になるということです。

 【完了時期の延期 東通村にも報告】

 東通原子力発電所の安全対策工事の完了時期を延期することについて東北電力は、原発が立地する東通村にも報告しました。
 東北電力の高野広充副社長から報告を受けた畑中稔朗村長は「3年のうちに2度の計画の変更ということで非常に受け入れがたいと思っているし、はっきりいって驚いている。二度と遅れることがないよう会社としてしっかりと取り組んでいただきたい」と述べ、議会や住民にも説明するよう求めました。
 そして、安全対策工事完了の新たな見通しについては、「期待をこめた時期の明言は結構だ。会社が責任を持ってこれ以上延期はないという時点で、責任を持って時期を明示していただきたい」と強く求めました。
 報告を受けたあと、取材に応じた畑中村長は「受け入れがたい事実だ。地域の方々に対しての影響、ダメージも計り知れない。会社が主体的にこの地域のために何ができるか判断して、必要があれば組織を変えるくらいのつもりで取り組んでほしい」と述べました。

 【東通原発の審査状況】

 東通村にある東北電力東通原子力発電所は、13年前の東京電力福島第一原発の事故のあと運転を停止していて、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が10年前から続いています。
 これまでの審査で、東北電力は▽最大規模の地震の揺れを運転停止前に設定した450ガルのおよそ1.6倍にあたる700ガルに引き上げたほか、▽想定される津波の高さについては、原発の敷地の海抜13メートルよりも低い最大12.1メートルとする内容を示し、先月までに原子力規制委員会がそれぞれおおむね了承していました。
 一方で、原子炉などが入っている建物や配管などの設備に想定される地震の揺れが実際にどのような影響を与えるかを検討する審査などが残っています。
 東北電力はこれまで今年度に安全対策工事を完了させると説明する一方で、具体的な再稼働の時期については示していません。
 東北電力青森支店の下屋敷聡支店長は、今月11日の会見で現在の審査状況を踏まえて工事の完了時期について「厳しくなってきていると認識しているが、現在のところは全力で終わらせるように取り組む」と話していました。
KEY_WORD:HIGASHI_TOUHOKU_:FUKU1_: