[2024_02_14_09]原子力規制委「自然災害への対応は範疇外」 道路寸断、家屋倒壊の中での避難対策は自治体に丸投げ(東京新聞2024年2月14日)
 
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原子力規制委「自然災害への対応は範疇外」 道路寸断、家屋倒壊の中での避難対策は自治体に丸投げ

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 原子力規制委員会は14日の定例会合で、原発事故時の防災対応を定めた原子力災害対策指針の見直しについて、環境に拡散した放射性物質による被ばくを避ける住民の「屋内退避」の手法に限って議論する方針を決めた。5人の委員全員一致の判断。能登半島地震では家屋の倒壊や道路の寸断が多発し、屋内退避や避難が困難だったことが判明したものの、それらの課題を想定せずに検討を進める。(渡辺聖子)

 ◆対策指針の見直しは「屋内退避」の手法のみ

 山中伸介委員長は会合後の記者会見で、家屋倒壊や避難ルートの寸断などは自治体側の検討課題と強調。「自然災害への対応はわれわれの範疇(はんちゅう)外」と繰り返した。屋内退避ができる前提で今後の議論をするのかを問われると、「そのような考え方で結構」と答えた。
 東京電力福島第1原発事故後に発足した規制委は、原発の事故対策の審査や規制はするが、審査の対象外である避難計画には助言など限定的な役割を担う。
 見直しの議論は、屋内退避を原発からどれぐらい離れた場所に住む人々が何日間ぐらい実施するかや、解除の判断基準など、現行指針に具体的な記載がない項目に限る。外部専門家や自治体、内閣府の担当者らを交えたチームで検討し、1年程度で結果をまとめる。
 会合でも委員からは、自然災害への対応は「議論の対象外」とする発言が相次いだ。伴信彦委員も「原子力災害のあるなしにかかわらず、家屋倒壊や集落孤立はそのこと自体が問題。それは自然災害への対策として(自治体側で)手当てされるべきだ」と述べた。杉山智之委員は、屋内退避先となり得る集会所について耐震性があることが望ましいと指摘したものの、規制委として議論する必要はないという認識を示した。

 ◆原発立地県知事「現実踏まえた避難のあり方を議論すべき」

 現行指針は、大量の放射性物質が外部に飛散する重大な事故が起きた場合、原発から5キロ圏内の住民は避難、5〜30キロ圏内は屋内退避と定めている。自治体は指針を基に詳しい避難計画を策定する。
 能登半島地震後、自治体からは指針への疑問の声も上がる。東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発が立地する新潟県の花角(はなずみ)英世知事は9日、規制委事務局である原子力規制庁の片山啓(ひろむ)長官に「現実を踏まえた避難のあり方を議論すべきだ」と要望していた。


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