[2023_10_16_14]再稼働に立ちはだかるハードルは? 運転禁止が続く東京電力柏崎刈羽原発(東京新聞2023年10月16日)
 
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再稼働に立ちはだかるハードルは? 運転禁止が続く東京電力柏崎刈羽原発

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 テロ対策の不備が発生した東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)は、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けたまま2年半が過ぎた。東電は柏崎刈羽原発の再稼働をあきらめないが、目標とした10月になっても見通しは立たず、高いハードルが待ち受けている。(渡辺聖子)

 柏崎刈羽原発の経過 2012年3月までに全7基が停止。17年、原子力規制委員会は東電に原発を運転する資格があるとした上で6、7号機の新規制基準適合を決定。20年以降、テロ対策の不備が相次いで発覚し、21年4月に規制委が事実上の運転禁止を命令した。

 ◆運転禁止命令の解除は見通せず

 規制委は東電の再発防止策が十分と判断できるまで運転禁止命令を解除しない方針。5月に4項目で改善が不十分として検査継続を決めた。東電は@とBの対策が完了したと規制委に報告し、追加の検査は始まったばかりだ。

 ◆不祥事続く東電に原発運転の資格はあるのか

 運転禁止命令を解除するには、東電に原発を動かす適格性があるかを再判断する必要があるとして、規制委が8月末から確認作業を進めている。規制委は適格性は「ある」と判断した際に約束した項目が順守されているかを3カ月程度かけて確認する。

 ◆新潟県の同意手続きでは「県民の信を問う」

 新潟県は再稼働への同意を議論する前提として、福島第1原発事故を11年にわたり独自に検証し、9月に作業を終えた。当初は有識者の総括委員会が報告書をまとめる予定だったが、県と対立し、最後は県がまとめた。花角英世知事は「県民の信を問う」と述べ、自らの判断を示した上で知事選の可能性も否定していない。

 ◆事故が起きればさらなる賠償リスク

 東電は福島第1原発事故の被害者賠償や廃炉を抱えながらの経営再建に向け、再稼働の必要性を唱えている。
 事故後に事実上、国有化された東電は、本来自らの財力で支払う賠償金を、国が発行する国債で賄い、将来的に返済するとしている。再稼働すれば、さらなる賠償リスクを背負うことになり、そのツケは国民に回ってくる。
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